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半導体デバイスを手掛ける福山事業所を視察

8Kのシャープを中国の政府機関が訪問

2018年10月16日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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 広島県福山市にある、シャープ福山事業所を、2018年10月10日、中国工業情報化部が訪問。戴正呉代表取締役会長兼社長などのシャープ幹部が迎え、最新の8K技術などについて説明したことが分かった。

 戴会長兼社長が直接出迎えたのは、9月22日付で、自らが中国代表を兼務したことも背景にありそうだ。

8Kテレビの応用範囲は、エンターテインメントにとどまらない?

 福山事業所は、8K関連の半導体などを開発する拠点。戴会長兼社長は、「福山事業所は、8Kの心臓部である画像処理半導体(8K画像処理SoC)を開発する最先端の開発拠点である。11月に発売する世界初の8Kチューナー搭載テレビや世界初の8Kカムコーダー、8K映像編集システムなど、8K関連の最新のハードウェアおよびソフトウェアを、この機会に紹介したい」と出迎えた。

 一方、中国工業情報化部は、中国の経済・産業政策や通信行政などを担当する政府機関で、今回の視察は、同部副部長となる羅文氏を団長に、14人が訪問した。

 中国では、2022年には8Kテレビが大きく普及すると見られており、8K分野で市場をリードするシャープが持つ8K最新技術や、同社が取り組むエコシステムの概要などについて視察するのが目的だったようだ。

 中国工業情報化部の羅文副部長は、「シャープには、数々の世界初の技術があり、技術力の高さを認識した。また、シャープの8Kの技術力、そして8Kが様々な産業へ応用可能であることも理解できた。8Kは情報伝達において重要な技術であり、今後の中国の経済発展を推進するエンジンとなり得るものだ。今後の8Kでの協力体制を期待したい」と語った。

8K技術の広がりは、中国が中心になるのか?

 視察では、福山事業所で新たに開発した「8K向けシステム半導体(8K画像処理SoC)」や「CMOSイメージセンサー」のほか、世界で初めて、8K撮影、収録、再生、ライン出力を1台で実現した「8Kカムコーダー」や、8K映像の編集ができる「8K映像編集システム」などを紹介した。

 12月1日から、日本で放送が開始される新4K8K衛星放送チューナーを内蔵した「8Kテレビ」の試作機、次世代移動体通信である「5Gによる8K映像の伝送技術」なども公開。さらに、医療分野や教育分野、工業分野における8Kエコシステムの展開事例も説明した。

 シャープは、中国においては、2017年10月に、世界初となる8K対応テレビを発売。中国での8Kの活用機会が飛躍的に広がると期待しているという。

 また、今回の中国工業情報化部の福山事業所の視察については、「8K技術における『日中友好のかけはし』の第一歩といえるものであり、各国の政府機関や有力な8K関連企業との連携を通じ、8Kエコシステムの構築を加速し、8K分野での先導的な役割を果たす」としている。

 シャープの執行役員 8Kエコシステム戦略推進室長の西山博一氏は、「2018年5月の日中韓情報通信大臣会合で述べた通り、シャープは、8Kエコシステムを充実させ、アジアを起点としてグローバルへ積極的な展開を図り、8Kの推進に寄与したい」としている。

シャープの製品を、陰で支えてきた半導体製造拠点

 シャープの福山事業所は、1985年2月に操業を開始。当時、大ヒットしていた家庭用ゲーム機向けメモリーとして使われていたマスクROMを生産。その後は、LCDドライバーやオプトデバイス、アナログIC、CCD/CMOS、フラッシュメモリなどの生産を行ってきた経緯がある。

 2017年6月には、三原事業所で生産していた半導体レーザーなどを集約。現在は、主に、8KエコシステムのコアデバイスとなるCMOSイメージセンサーや画像処理LSIのほか、半導体レーザー、オプトデバイス、電源アナログデバイス、各種センサーなどの設計、開発、生産をおこなっている。

 敷地面積は約21万m2で、従業員数は約1300人。そのうち約60%が技術者だという。

 シャープは、これまでに、小型電卓、カメラ付き携帯電話、8Kテレビ、8Kカムコーダーなど、数多くの世界初を生み出してきたが、福山事業所では、これらの商品を実現するためのデバイスを開発、生産してきたというわけだ。

 シャープの常務 電子デバイス事業本部長の森谷和弘氏は、「福山事業所は、30年以上にわたって半導体技術やノウハウを蓄積し、独自デバイスを供給してきた。シャープのDNAである独創性を発揮したデバイスを今後も提供し続けていく」としている。

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