「avenue jam」特別対談 第29回
対談・Planetway CEO 平尾憲映×ミネルバ大学インターン生 第2回
ミネルバ大生がプラネットウェイで学んだこと
2018年10月30日 11時00分更新
情報国家エストニアの技術をコアにもつ、日本のテクノロジーベンチャー・プラネットウェイ。世界を変えるという壮大なビジョンを掲げる同社代表の平尾憲映CEOの目に留まったのは、今、「世界でもっとも入りにくく、世界中のエリートが一番入りたい大学」と噂されるミネルバ大学の学生たち。ミネルバ大生のインターンシップの受け入れを決めた平尾代表は、彼らの中に何を見たのか?また、彼らエリート学生たちがプラネットウェイでのインターンを志望した理由とは?平尾代表と、イサベラ、ジェイソン、オスカー、3名のインターン生による対談(ジェイソンとオスカーはオンラインでのミーティング参加)を通じてあきらかにする。(全3回)
Speaker:
プラネットウェイ 代表取締役CEO
平尾憲映
プラネットウェイでミネルバ大生は何をしたのか?
平尾 プラネットウェイでインターンの彼らにしてもらっている仕事についてお話しましょう。
ベラは基本的に、ビジネス開発でチームを支援してくれています。彼女の好きな仕事の1つに「パートナーシップを構築する」というものがあって、それにはいろいろ調査やパートナー企業とのミーティングへの参加がありました。今、当社のサービスをどう始めるか、大変重要な段階にいます。
あらゆる種類の調査が必要で、パートナー各社と戦略を考案しないといけません。ですから、ベラはミーティングにもすべて参加し、関連する調査もすべてやってくれました。それから彼女は、プラネットクロス※にも絡んでくれて、さらにウェブサイトの開発とか、翻訳などの業務等もやってくれています。ある種のメディアとか、社内コミュニケーションのツールとか、そういったものも手伝ってくれます。
※【プラネットクロス】デジタル先進国エストニアのX-Roadをベースにプラネットウェイが開発した、分散されたデータベースをセキュアに連携させる情報プラットフォーム。
イサベラ とても多くのことを経験できました。特に楽しかったのは、ビジネスミーティングにいろいろ出席できて、日本ではどのような力学が働いているのか、南アフリカとはどう違うのか等を見ることができたという点ですね。
平尾 ジェイソンは主にIPに主眼を置いています。IPとは何かとか、「特許権」、「実用新案権」、「意匠権」、「商標権」の4種類の分野すべてで調査をし、さらにプラネットウェイにふさわしい高度なIP戦略を構築するには、どうすれば良いのかといった調査もしています。確か、社内システムのエンジニア向けソフトも開発してたよね?
ジェイソン はい、主に「知的財産」に関するものですが。
平尾 そういうわけで、彼は主にエストニアのエンジニアたちを手伝ってくれています。
ジェイソン エンジニア向けの社内アプリケーションを作った後、私は主に、市場を調べて、プラネットウェイでこれから作ろうとしているものによく似た既存の製品があるかどうかを調べています。そういった製品には「法的問題」があるのかないのか、他の誰かが当社の権利を侵害するのかしないか、といった問題ですね。
平尾 これは当社とって大変重要なことで、当社には他にこの種の作業の出来る人がいません。ジェイソンは、このIPのことにしっかりと取り組んでくれていましたので、大変助かりました。私たちもやろうとしていたんですが、そのための時間もリソースもなかったんです。だからジェイソンの仕事はこれから、私にとって大変ありがたいものになっていくはずです。特に、当社がもっと大きくなった時にですね。
オスカーは インターン生の中でも、特に技術者の間で人気者です。彼はいろんなプロジェクトにあれこれ関わってます。CTOのトーニュ※が関わっていたものについて教えてください。
※【トーニュ】プラネットウェイの最高技術責任者(CTO)トーニュ・サミュエル氏。MySQL開発のコアメンバー4名のうちの1人として、MySQLのSSL接続などのSecurity全般を開発した経歴を持つ。
オスカー プラネットクロスの技術をオープンデータとつなげるためのテストプロジェクトを行っていました。トーニュはエストニアと日本で雷のデータを採っていて、その雷がどう自然に影響を及ぼすかといったことを分析しようとしています。それをどうすれば理想的なデータが採れるか、最適な場所にセンサーを置けるのか、それにプラネットウェイ の技術を組み合わせて、どのようにオープンデータにできるかというプロジェクトでした。
平尾 オスカーは数学や暗号がとても得意ですから。ですから二人はこういった仕事に一つずつ取り組んでいるんです。
日本のインターンシップを全面改革したい
平尾 実は今回のインターンは、ここで終わりではないんです。この後も、彼らには遠隔でインターンを続けてもらいます。ジェイソンとオスカーには、すでにリモートで学び続けてもらっていますが、ベラにも日本滞在を1ヵ月延長してもらいました。今日がベラの最後の日になりますが、今日で終わりということではなく、今後もリモートでのインターンを続けてもらう予定です。大学卒業まで続くかもしれませんね。
それに、卒業してひょっとしたら、プラネットウェイに入社してくれるかもしれませんしね。まぁ、それはたんに私の希望ですが。私には、こういうインターンの経験はないので。でもミネルバ大学はとてもユニークです。こういうインターンを企業にやらせてくれるし、ミネルバ大学の人とお話もできました。
イサベラ ダンさんですね。私たちのプロフェッショナル開発チームの方で、夏季の間、インターンの経験に関して取りまとめてくれている方で、ミネルバ大学の職員です。
平尾 ダンさんは、プラネットウェイの事業に興味津々で、プラネットウェイにもっと学生を送り込みたいと仰ってくださってるんです。ですから当社はできれば、ミネルバとパートナーになって教育ビジネスで協力したいと思っています。当社にはプラネットガーディアンズ※という事業もあって、プラットフォームがしっかりできてます。その事業はビジネスでもありますが、適宜ミネルバからもっと学生さんたちに来ていただこうとも思っています。
たいていのインターンっていうのは1ヵ月なら1ヵ月いて、場合によっては1週間だけとか、それから全然違う企業に移っていきますよね。それに日本だと、実際のところ、インターン先で単に良い評価を書いてもらって、履歴書の足しにするとかです。
学生さんの将来の仕事に直接結び付くようなインターンへと、全面的に変革したいのです。で、彼ら3名の学生さんたちは、うまく行けば日本の企業や社会への「強烈なメッセージ」になってくれると思います。インターンってものを、安易に考えないで欲しいいうメッセージです。安直に考えてしまっている学生さんが、日本には多いですからね。
※【プラネットガーディアンズ】プラネットウェイの手掛ける、グローバルスタンダードなホワイトハッカーおよびセキュリティ人材育成プログラム事業。
一人のインターンの力が、1つの会社に影響する
イサベラ 私がこの会社で学んだ中で一番重要なのは、スタートアップ段階での知名度を上げることの大切さです。プラネットウェイが他社と大きく違うのは、プラネットウェイはもう、他の企業各社からアプローチがあるレベルにまで来てるんです。プラネットウェイから他社に働きかけなくても。この段階にまで来ると、どんどん他社から仕事の依頼が入ってきます。2~3年で、世界的に名の知られた成功を収めている企業みたいになれると思いますよ。
平尾 ビジネスという点では、日本の現状をどう思います?
イサベラ 私が関わったことのあるどこよりも、コミュニケーションがとても大事です。たとえばそうですね、名刺みたいな伝統的規範があって、それは私は、日本に来るまで知りませんでした。海外ではビジネスカードの交換なんて、あまりしませんからね。
平尾 ただ、プラネットウェイって、純粋な意味での日本企業じゃないですよね。当社の人材は10ほどの国籍の人たちなんです。グループで70人くらいしかいないのに、国籍は10ですよ。もう小さなプラネット(惑星)ですよね。
ジェイソン ベラも言っていたように、日本流ビジネス文化を知る良い機会だったと思います。日本にきていろいろなミーティングに出ていろんな人たちと一緒に仕事をしたのですが、ミーティングで、特にいろいろ学ぶことがありましたね。もう少し時間があったら他の会社ともっと比較できたかもしれないですが、私たちはプラネットウェイしか見ていませんから、この会社が何をしようとしているのか、自分たちがどんな形の仕事をしているのか、そうやってプラネットウェイの目標達成にどう貢献できているのか、それが見えてくるようになりました。
特にプラネットウェイは急成長しているスタートアップなので、自分が何をしたいのか、マネジャーや社内の人たちからの指示を待つのではなく、会社に自分がどう貢献できるのかを把握しておくことが特に大切ですね。それと、すべてやるべきことを、しっかりやっていくことですね。
オスカー ジェイソンが言ったことの最後の部分、自分も言いたかったところです。まるでビジネスの契約みたいに決められたことをやればいいというわけじゃなくて、何をするべきなのかということを把握するのはとても大切で。そういう、この会社に関する理解というか、個人的プロジェクトではなくて、自分も会社の一人になって、全員が同じ目標に向かって進んでいるような。でも、同時に、自分自身のやる気を出して自信を持ち、どうやって仕事をするのかを学ぶのかが、とても大切だと思いますね。この仕事をしたいんだ、っていうような。
仕事をする自由と呼べばいいのかな。そういったものをプラネットウェイは与えてくれました。自分がどう仕事をするのか、それは自分で決めていいよ、っていうような。ですから自分をマネージできるので、いろいろやることを管理できて、とても自分には良いことだと思います。意思決定を自分でできるので。じゃあ、自分はこれをしよう、もっと大きなプロジェクトでも役に立とう、という感じですね。自分が、この会社の大きなイメージになっていくような。
そういうことを分かっているととても面白いですね。一人のインターンの力が、1つの会社に影響するんですよ? それは特に、プラネットウェイがスタートアップだという点で、良いことだと思いますよ。まだ、少人数の企業ですからね。まだ70人ほどの企業で、私たちもその仲間です。だから、私たちも大きな影響力を持てるんです。そういう面を把握しておくのは、自分としてはとても良いことでした。自分の人生をどう経営していくのか、もっと大きなプロジェクトでどう仕事をしていくのか。実際、自分の身の丈よりも大きなプロジェクトでした。
第3回に続く
(提供:プラネットウェイ)
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