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業界人の《ことば》から 第311回

「プリンター市場で生き残りかける」最高益出したブラザーが縮小市場に本気

2018年09月21日 09時00分更新

文● 大河原克行

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コストを下げてインクを長持ちさせる

「ファーストタンク」という新たなブランドを立ち上げた

 ファーストタンクの名称は、初めて大容量インクジェットモデルを購入する人たちが、使いやすいことを目指して開発したプリンターであることを指しており、拡大している大容量インクジェットプリンターのファーストユーザー獲得に力を注ぐ。

 ファーストタンクシリーズは、これまでの標準的なインクカートリッジに比べて、ブラックでは約16本分、カラーでは3色それぞれが約10本分のインク量を搭載。A4モノクロ印刷では約6000枚、1ヵ月に300枚を印刷するユーザーでも1年以上使うことができる。

 さらにインク全色を、カートリッジからサブタンクに注入するシステムを採用。カートリッジ内のインクを使い切っても、印刷を中止することなく、約200枚の印刷が可能。カートリッジの購入を忘れた場合でも安心だ。また、インクカートリッジタイプを前面から交換できる構造を引き続き採用。交換の手間を軽減している。

 ブラザーは2016年8月に、初の大容量インクカートリッジ搭載モデルDCP-J983Nを発売した。大容量インクジェットプリンター市場では、約12%のシェアを獲得したという。

 ブラザー販売の三島社長は「1台あたりの印刷枚数は約2.5倍。従来モデルでは、月100枚以上印刷するユーザーの比率は17%であったが、大容量インクジェットプリンターでは46%に達している。印刷ボリュームの多い人にアピールできた成果があがっている」とする。

 だが、昨年の製品は競合他社の大容量インクジェットプリンターに比べると、容量が少ないため、ランニングコストが高かったり、インクカートリッジの交換頻度が多かったりという指摘もあり、「大容量」のメリットを生かし切れていなかった。「今年の新製品では、こうした課題を劇的に改善して、成長する大容量インクジェットカテゴリーのなかでシェアを拡大したい」と意気込む。

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