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業界人の《ことば》から 第311回

「プリンター市場で生き残りかける」最高益出したブラザーが縮小市場に本気

2018年09月21日 09時00分更新

文● 大河原克行

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「まとめて発表」という挑戦

カートリッジ方式を採用しているのはブラザーの特徴

 ブラザーの大容量インクジェットプリンターの特徴は、「カートリッジ」方式を採用している点にある。

 ブラザー販売の三島社長は「ファーストタンクの最大の特徴は、大容量インクカートリッジ方式であること」とコメント。「多くのユーザーが慣れ親しんでいるインクカートリッジ方式と同じ使い方ができるとして、高い満足度がある」とし、初めて大容量インクジェットプリンターを使用する人にとって最適な構造であることを強調する。

 エプソンやキヤノンでは、ボトル方式を採用しており、それを「大容量インクタンク」などと表現している。ブラザーでは、カートリッジ方式までを含めて「タンク」というカテゴリーを形成することで、大容量インクジェットプリンター市場全体を拡大させていく考えだ。

 ファーストタンクの名称も、それを視野に入れたもので、「大容量=ボトル」のイメージを、「大容量=タンク」として定着させることができるかどうかも、マーケティング上の重要な課題のひとつになる。

 もうひとつ、ブラザーでは新たな挑戦をしている。

 家庭市場をターゲットとした主力のA4インクジェットプリンターと、SOHOなどのビジネス向けとするA3インクジェットプリンターの発表を同じ時期にしたという点だ。

 これまでは、A4インクジェットプリンターは年賀状需要を前提に、年末商戦向けに新製品を投入。A3インクジェットプリンターは、3月の年度末需要に向けて新製品を投入してきた。競合他社も同じスタイルだ。

 「印刷可能なサイズが異なる2つの製品は、これまでは違うターゲットに向けて、違うタイミングでリリースをしてきた。だが、今年は市場環境が変化するなかで、同じタイミングで、統一したコンセプトとメッセージを発信する形で、新製品を投入することにした」とする。

 A4インクジェットプリンターが「大容量」となったことで、家庭はもちろん、SOHOやSMBでも利用されることを想定。そうした背景から、一本化した形で製品を発表してみせたともいえる。

 「新製品は、大型複合機に変わる候補として十分使える製品に仕上がっている。エンドユーザー向け発信を強化して、Eコマースや家電量販店でのシェア拡大に加えて、ビジネスルートでの販売を強化する。プリントボリュームの多いユーザーに満足してもらえるように、製品、サービスを届け、大容量タンク時代に向けて、ブラザーの存在感を高めたい」とする。

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