仕事に差がつく!阿久津良和「Office 365のスゴ技」 第40回
メールベースで顧客の声を一元化管理、チームで共有
Outlookのアドオン「Outlook Customer Manager」で顧客管理を効率化
2018年08月20日 12時00分更新
本連載は、マイクロソフトのSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション「Office 365」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。
Office 365を使いこなして仕事を早く終わらせたい皆様にお届けする本連載。今回は「Outlook Customer Manager」に注目する。
中堅中小企業の顧客管理を強化するOCM
顧客の声を聞くことはビジネスにおいて重要であることは言うまでもない。だが、時間は有限だ。Office 365には、メールベースで顧客情報を一元化する「Outlook Customer Manager(OCM)が用意されている。
2016年11月にファーストバージョンをリリースしたOCMは、2017年4月にiOS版やWeb 版に提供範囲を拡大し、Office 365 Business Premiumのサブスクリプションで利用可能だ。
OCMは基本的にWindowsデスクトップ版Outlookのアドオンとして稼働し、顧客の連絡先に対して、関連するメールや案件、メモ、タスク、ファイル、会議といったデータを関連づけるというもの。これらのデータは利用者が主導で追加するものもあれば、Microsoft Graphのメールや予定表、Skype for Businessなどのデータを用いて自動引用するものも含まれる。
OCMが便利なのは、管理する案件を共有できる点だ。MicrosoftはOCMを中堅中小企業向けツールに位置づけており、ファーストリリース時は「1人の顧客に対して複数のプロジェクトメンバーが個別対応すると、(その時系列や情報すべてを)フォローすることは困難。OCMを使用すれば、チームで顧客情報を共有し、全員が共通の意識を保持できる」(Microsoft)と利用のメリットが紹介されている。つまり、大規模なCRM(顧客関係管理)システムを導入するのが難しい中堅中小企業こそ、OCMを使用すべきなのだ。
既に異なるCRMツールを使っている場合も、OCMのインポート機能を使えば移行も容易である。CSVファイルをクラウド上で変換する仕組みのようだが、筆者が確認したところシフトJISやUTF-8では日本語が正しく認識しなかった。このあたりは日本マイクロソフトの対応を期待したい。
さらにOCMは作業を自動化するMicrosoft Flowと連携し、顧客データの取り込みを支援している。例えばSharePointのリストからOCMが参照可能な連絡先を作成できるため、Office 365で社内システムを統一している中堅中小企業であれば、OCMの利便性はさらに高まる。
このようにOCMはマイナーながらも優れたツールである。惜しむべきは日本語対応が甘い点だ。例えば英語版ならBing経由で顧客企業の情報を取り込み、入力の手間を省いている。2017年4月の時点で実装した機能だが、本稿執筆時点でも日本語には未対応。Microsoftも「Outlookの言語設定が英語(米国)時のみ使用可能」と説明している。Office 365 Roadmapを確認しても、OCMに関する更新予定情報はないため、本機能が日本語対応するのはしばらく先の話となりそうだが、既にOffice 365を利用している中堅中小企業はOCMを一度試してほしい。
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