スマートウォッチは時計としての機能と簡単な通知があれば十分、と考えている人が多いかもしれません。スマートウォッチがあればスマートフォンがいらないなんて話は幻想に終わり、時計はむしろ時計ならではの良さを生かした製品でなくては受け入れられないでしょう。デジタル製品的なスマートウォッチとして唯一成功しているのはApple Watchくらい。そのほかに目立った製品はほぼアナログ時計スタイルをしています。
とはいえ、タッチパネルを操作してアプリを使えるスマートウォッチもまだまだ多くあります。中でも子供向けのスマートウォッチが中国で独自に進化しています。最近は減ってきているのでしょうが、誘拐事件が多かったこともあり、子供の安否は親にとって毎日気になるもの。共働きも多いことから、スマートウォッチを子供に付けて位置情報を確認したり、通話でコミュニケーションを取ることを望む親も多いようです。
現在、中国の子供向けスマートウォッチのトレンドはこんな感じです。
- LTE内蔵
- カメラ内蔵
- 音声入力対応
- モバイルペイメント対応
- 防水
- 学習アプリ内蔵
ちょっと前まではBluetoothでスマートフォンと接続する必要がある製品ばかりでしたが、今やLTE内蔵で単体利用可能、VoLTE通話もできる製品ばかりになりました。また自分の状況を写真や動画で送れるようにと、カメラを内蔵した製品も増えています。画質も数年前はおまけ程度だったものが、最近は数百万画素で十分な品質です。
さらにはQRコードを表示してモバイルペイメントに対応したものも。ちょっとした買い物もスマートウォッチを身につけているだけで可能になりました。チップセットはどの製品もほぼMediaTek製ですが、5月にToppersが出したW1は中国開発のチップセット、Spreadtrum SC9832Eを搭載、もちろんLTE内蔵のSoCです。OSも独自開発のもので、中国で初めての完全国産スマートウォッチになります。
実際に上海の街中でも、夕方に子供がスマートウォッチを使って親と通話している姿を見かけることがありました。数年前の製品なら品質もイマイチで接触不良や電池の持ちが悪く、子供に電話をかけても通じないこともありました。しかし、今販売されている製品は価格も安く、1年間はしっかり使える仕上がりのものばかり。安心して、そして手軽に子供につけることができるのです。中にはポータル大手Sugouの販売する「Hero」のように500万画素カメラを搭載した上位モデルもありますが、基本的にはほとんどのモデルが日本円で1万円から2万円程度です。
検索大手のBaiduは、AIと音声入力にも対応した独自OS「Dure OS」を開発していますが、それを搭載した子供向けスマートウォッチも小天才というメーカーから出ています。画面の狭いスマートウォッチだけに、指先操作より音声操作のほうが使うのもラクですね。
今後はさらに機能を乗せて差別化が進んでいくでしょう。SugouのHeroなどは大人も使いたくなる高画質カメラを搭載していますから、大人向けも作ってほしいですね。音声入力ソリューションを開発しているiFLYTEKの時計には、音声入力に対応した英語と中国語の翻訳機能がついています。こんなスマートウォッチを東京オリンピックの時に子供たちがつけていたら海外からの観光客も助かりそう。日本語に対応させて日本で販売してほしいものです。
子供向けスマートウォッチは、実はあのシャオミも市場に参入しています。ということは十分ビジネスになる市場だということなのでしょう。日本ではまだ数が少ないですが、子供の安全のためにも製品の種類が増えるといいですね。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

この連載の記事
-
第781回
スマホ
まだまだ生き残っているWikoのスマートフォン、2025年モデルを確認した -
第780回
スマホ
今度のアストンマーティンスマホは「タイヤ交換」のようなカメラ部のデザイン変更が面白い -
第779回
スマホ
深圳のOPPOストアで望遠レンズスマホを体験! 最新モデルを触ってきた -
第778回
スマホ
中国で折りたたみスマホ競争が激化、サムスンが高級モデル「W26」を発売 -
第777回
スマホ
エントリースマホが一変! HMD「Fusion」の機能性カバーが便利すぎたのでほかのスマホにもほしい -
第776回
スマホ
地下通路にズラリと並ぶ中古スマホ屋たち! 中国・重慶のスマホ市場のカオスっぷりが楽しい -
第775回
スマホ
「メイド・イン・サウジ」中東で作られたタフスマホをドバイで発見! -
第774回
スマホ
最新スマホをフライング展示、HONORのフラッグシップストアが深センに開業 -
第773回
スマホ
手のひらサイズの超小型端末「Qin K25」はキッズフォンを超えたAIスマホだ! -
第772回
スマホ
薄型スマホブーム到来、レノボやTECNOから製品が続々発表 -
第771回
スマホ
BALMUDA Phoneより小さい! HMD最新の小型端末「HMD Touch 4G」が驚異の軽量設計で登場 - この連載の一覧へ








