しばらく10nm製品の投入は無理
Wiskey Lakeで食いつなぐ苦しい戦い
今年5月、インテル初の10nmプロセスを利用したCannon Lakeベースの製品として、Core i3-8121Uが発表された。これが「インテルの10nm製品」としてまるっきり話題になっていない(別の意味では話題になっている)というあたりだろうか。
インテル自身あまりこれに触れたくないようで、直リンクではしっかり製品仕様が表示されるのに、“8th Generation Intel Core i3 Processors”の一覧にはCore i3-8121Uが存在しない。
この製品が8121U、というモデルナンバーがついてるあたりがなんともやるせないのは、14nm世代のCore i3-8130Uにスペックで見劣りすることだ。
内蔵GPUが無効化されているだけでなく、Max Turboの動作周波数も3.4GHz→3.2GHzと目減りしており、かろうじて勝っているのはLPDDR4/x-2400をサポートしている(Core i3-8130UはLPDDR3)というあたりだろうか(両者の比較はこちら)
これはなにかというと、もちろんCannon Lakeなのだが、どうも本来2+2もしくは4+2(2コア+GT2もしくは4コア+GT2)という構成で製造したダイのうち、かろうじて2+0(2コア、GPUなし)で動くものをかき集めたということらしい。そのくらい、現状のインテルの10nmプロセスの状況は悪い。
詳しい話は別の記事にさせていただくが、インテルの10nmプロセスは2019年中に立ち上がるかどうか、微妙な感じだ。運がよければ2019年中に量産に入れて2020年にはモノが出てくることになるが、これも怪しいという話になっている。
結果、COMPUTEXではTDP 15W枠のWiskey Lakeと、TDP 5W枠のAmber Lakeがアナウンスされたが、これはどちらも14nmプロセスでの製造である。
これは前から言われていた話で、Wiskey Lakeは事実上のKaby Lake Refresh、Amber LakeはWiskey Lakeの2コア版(Wiskey Lakeが4+2、Amber Lakeが2+2)であり、これで年内~来年の早い時期まではつなぎたいようだ。
この後もしばらくインテルは10nm製品の投入は無理である。Cannon Lakeは事実上これで死ぬことになると思われる。一方後継のIce Lakeはおそらく新規の物理設計のやり直しであろう。
となるとインテルはどうするのかというと、当面はKaby Lake-Gスタイルの、インテルCPU+AMD GPUという形の製品をハイエンドに配しつつ、メインストリーム~ローエンドはWiskey LakeあるいはCoffee Lakeのリフレッシュ版を投入するという、超絶苦しい戦いを強いられることになるだろう。
もっともこれはノートPCのに限った話ではなく、デスクトップはおろかサーバーにも波及している。このあたりの鍵は10nmプロセスにある。次回はその話をしたい。

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