人工知能に対する
FacebookとGoogleとAppleの考え方の違いがハッキリと
GoogleやAmazonのように、中央集権的に賢くなっていく人工知能は、利用する人がわざわざプログラミングをしなくても、そのオートメーションを実現するコマンドを提供してくれるようになるかもしれません。
ただし、それが自分の生活や環境に適したものであるかどうかはわかりませんし、自分に役立つコマンドがいつ用意されるのかもわかりません。その点で、AppleのShortcutsアプリによる自動化の設定は、自分に必要なショートカットを取り入れられる点で、即効性がある可能性があります。
しかしプログラミングのスキルを要求されることには変わりありません。そこでSiriの登場です。Siriは我々がいつどこでiPhoneを使っているのかという、統計的な情報を持ち続けています。iOS 12でスマホ中毒抑制機能として取り入れられたScreen Timeアプリも、すでにiPhoneが持っている情報を可視化しているにすぎません。
Siriは我々のスマホ利用の中で頻出するパターンを見出し、ショートカットの提案をしてくれます。もしこれが気に入れば、声のラベルをつけて呼び出せるようにすればいいし、Apple Watchを使っていれば、Siri Watch Faceに的確なタイミングで表示され、すぐに呼び出せるようになります。人工知能そのものの機能を充実させるのではなく、AppleはSiriに、ユーザーの利用動向のパターンを見つけ出す役割を任せているのです。
そこでAppleの姿勢は、人のために人工知能が働く、という明確な関係を示しています。
Googleも、人口知能が人の代わりになることを否定していますが、人の能力を次々に取り入れ、すでに人間以上の知識を持つGoogleアシスタントの凄みに圧倒され、また恐怖を感じる声も聞かれるようになりました。AppleはSiriを、そういう存在にしたくないと考えていることがはっきりしたわけです。
また、これもAppleらしいアプローチですが、Siriを育てることにもアプリ開発者の力を頼りにしていますね。今回のFacebookのF8、Google I/O、WWDC 2018では、特にAI分野における考え方の違いが明らかになった点も興味深いポイントでした。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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