業務を変えるkintoneユーザー事例 第23回
営業現場での活用を語るミライク、RPAまで取り込んだGEクリエイティブ
人にやさしくないプロセスをkintoneで変え、請求業務は10日から3日へ
2018年05月14日 09時00分更新
サイボウズのkintoneユーザーが導入までの経緯や使い方を共有するkintone hiveの名古屋版「kintone hive nagoya」が2018年4月11日に開催された。ここでは中京地区の地場IT企業であるミライクとGEクリエイティブのkintone活用セッションを紹介する。
営業部門の情報管理をkintone化したミライク
kintone hive nagoyaのトップバッターとして登壇したのは、東海地方を中心にITコンサルティングやプロモーション事業を展開しているミライクの経営企画室 室長 越村泰典氏だ。
2011年創業のミライクでは、ITコンサルティングとして中小企業の業務改善や保守、サポート、ネットワーク構築やOA機器の導入を進めるほか、創業5年後からはプロモーション事業をスタート。「今まではPCや業務改善でお客様の利益を守るお手伝いをしてきましたが、次のステップとしてお客様の持っているいい製品やサービスの利益を増やすことに従事することにしました」(越村氏)とのことで、東海地方ですでに約500社との取引があるという。
今回紹介されたミライトがkintoneを利用したのは、おもに営業部門だ。業務改善を進めるべく、営業マンが業界知識を得ると、訪問する会社が偏るようになってきた。そのため、まずは社内勉強会を開催し、業界ごとのトレンドや市場動向をシェアするようにしたが、この情報共有に負荷がかかるようになった。その他、「会社に戻ってExcelに書き込むのは負担」「過去の問い合わせを探るのが大変」「障害対応に時間がかかる」などの課題があったという。これを解消したのがkintoneだ。
営業部門での導入で担当者のノウハウが全社のノウハウに
kintoneは、同じフロアでkintoneコンサルティングを展開しているウィルビジョンから紹介されたという。「ウィルビジョン様からは、顧客情報や問い合わせ履歴をまめに入力することが重要とアドバイスしていただきました。そこで、弊社ではまず顧客情報の登録を徹底しました」(越村氏)とのことで、今までファイルサーバーのExcelファイルに保存していた情報をクラウド上のkintoneに細かく登録するようにした。
こうした情報の蓄積により、営業エリアごとの分析が可能になったほか、過去の問い合わせや業務改善の履歴も追えるようになった。「お客様の業務内容を把握できるようになり、今まで担当者ごとに蓄積されていたノウハウが、会社全体のノウハウになった」(越村氏)ということで、成約率や顧客満足度の向上に結びついた。その他、kintoneは障害対応データベースやプロモーション事業での販売管理システムとしても大活躍。案件単位の管理や担当者フォロー、見積もりの共有、請求までが一元的に管理できるようになったという。
さらに同社が運営しているカフェのキャッシャーでもkintoneを採用しており、集計を分析することで、新メニューの開発にも役立っているという。今後、カフェ事業でのkintoneの知見を生かし、リアルタイムな在庫管理を実現。小売りや飲食業のため、棚卸しの時間と労力を軽減する仕組みを作っていく。越村氏は、「現状に満足せず、お客様のかなえたい未来をかなえるべく努力していきたい」と語り、セッションを終えた。
いつの間にか業務は「人にやさしくないプロセス」になっていた
セッション3番手は、名古屋のIT企業であるGEクリエイティブの伊藤和美氏。案件管理と文書管理からスタートしたkintone活用はいつしか部署から、全社のプラットフォームへ、そしてグループ全体に拡がっていったという。
GEクリエイティブは創業から約20年となる名古屋のIT企業で、生産管理や機械制御、コンシューマー用途まで幅広い実績を持っている。登壇したGEクリエイティブの取締役/営業部ゼネラルマネージャー 伊藤和美氏は、「世の中、便利になって当たり前になる。当たり前になることに対して、システムを通じて社会貢献するのがわれわれのモットー」と語る。
今回のkintoneの導入は、もともと開発を担当していた伊藤氏が営業部に異動になったのは約2年前にさかのぼる。従来、同社の請求書の発行依頼は掲示板を用いていたが1つ問題が起こるとその書き込みが増えてしまい、請求担当者はどこまで作業をやっていたか見失うことがよくあったという。
伊藤氏がなぜ問題が発生するのか調べたところ、案件やタスク管理がきちんと行なわれておらず、請求金額を手作業で集計していたという実態にぶちあたったという。また、案件シートに書き込む内容が各事業所のメンバーの裁量に任されていたこともあった。関係者がミーティングを持った際も「説明が足りない」「ルールを厳しくすべき」「毎回間違いを指摘している」などのコメントが飛び交っていたという。本社と事業所が離れていることもあり、さまざまなところでコミュニケーションロスが発生していたのだ。
そんな中、板挟みになった経理担当者が退職してしまう。「いつしか私たちの会社は人にやさしくないプロセスになっていたのかもしれない」と考えた伊藤氏は、kintoneに出会うことになる。
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