2018年5月9日、カシオ計算機がコンパクトデジカメからの撤退を発表して、業界が涙にくれたのである。
なにしろデジカメがここまで普及したのも、それも日本でいち早く普及したのもカシオのおかげといって過言ではない。
ついでにいえば、私がこうしてデジカメを使った記事を書くようになったのもカシオがきっかけであるからして、今回は急遽カシオ23年のデジカメを猫写真で振り返ることにした。
回転式液晶モニターで自撮りもできる
あらゆる意味で画期的だった「QV-10」
1995年(今から23年前!)、カシオが「QV-10」というカメラを開発したのがすべてのはじまりである。デジタルカメラはすでに発売されていたが、それらは「10万円以上」して「撮った写真をパソコンに転送しないと何が撮れたかわからない」という代物だった。
対してカシオが投入したのは、「世界初」の液晶モニター搭載機で、6万円台の低価格という画期的なもの。
その分、画質は今ひとつだったが、当時デジカメで撮った写真を見たことある人なんてほとんどいなかったので、それでもよかったのだ。
しかも、カメラ部が回転して「自撮りができた」のである。今思えば、世界初の自撮り対応カメラである。画期的すぎ。
QV-10購入時に撮った猫写真がこちら。当時飼ってた猫である。画素数はなんと20万画素。もちろんAFもズームもなし。記録は内部メモリのみだった。
当初はカシオ社内でもヒットするとは思われておらず、初期製造台数も少なくて開発者自身が工場までいって製造を手伝ったという逸話も残っているほど。
でも新しもの好きパソコンユーザーが飛びついた。
集まってはQV-10を取り出して撮った写真を見せ合い、口コミで広がっていったのである。
QV-10開発当初のコンセプトのひとつが「ビジュアルコミュニケーション」。これがいかに未来を感じさせるものであったか、QV-10から20年以上たった今、スマートフォンがその未来を実現したことでもわかる。
逆に言えば、スマートフォンがそれを実現したことで、カシオがデジカメ市場から撤退せざるを得なくなったわけなのだけれども。
そしてQV-10が立ち上げた「液晶モニター搭載デジカメ」という新しい市場に、カメラメーカーや家電メーカーが参入し、画素数も35万画素、130万画素、200万画素と上がり、ズームレンズ搭載機が当たり前になるなどあっという間に進化。カシオのカメラもそれに追随して画素数を上げ、ボディーも大きくなっていった。
2000年には300万画素のQV-3000EXが出現した。
このあたりにはもう「カメラ」と呼んでいい画質になる。先ほどのQV-10の写真と同じ猫である。
この年、大きくなったQVシリーズに対し、単焦点ながら薄型軽量高画質を目指した「XV-3」が登場。後継機はなかった。短い運命だったので知らない人もいるかも。
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