今回のことば
「ラジカセは衰退した商品だと言われるが、カセットテープの復権とともに、伸びしろがある商品。シニア世代を中心に、カセットテープでもう一度聴きたいという需要がある」(東芝エルイートレーディングの松本健一郎社長)
東芝エルイートレーディングが3月下旬から、CDラジオカセットレコーダー「TY-AK1」を発売した。いまさら「なぜ、カセットテープなのか?」といった疑問を持つ人も多いだろう。
実は、同社の調べによると、78%のユーザーがまだカセットテープを利用。ハイレゾ機能を搭載したCDラジカセを購入したいというユーザーは97%にも達しているという。
調査対象が60~70歳代のラジカセおよびカセットコンポを所有し、音にこだわりを持っている男女50人となっていることから、偏った数字になっているのは明らかだ。しかし、それでもこれだけの高い数字が出たのには驚きだ。
デジタルオーディオが主流となるなかで、昨今ではアナログレコードに再び注目が集まっているのは周知のとおり。こうしたアナログ化の流れが、カセットテープにも及んでいるというのだ。
東芝エルイートレーディングの松本健一郎社長は「もはや、ラジカセは衰退した商品だと言われるが、カセットテープの音には暖かみがあり、耳に心地よい音源として見直されている。また、所有しているカセットテープの音楽をいい音でもう一度聴きたいという要望も多い」とし、「ラジカセはいい音にこだわる元気なシニア世代を中心とした需要があるほか、2020年には小学校での英語学習の必須化にともない、カセットテープのニーズが生まれると期待されている。大きな右肩上がりの成長はないが、成長の伸びしろはある」とする。
また、家電蒐集家である松崎順一氏は「レコードのブームに続き、カセットテープという新たなムーブメントが起き始めている。海外では、カセットテープでリリースするアーティストも登場してきた。2018年は日本でも同様の動きが出てくるだろう。カセットテープ独自の音があり、アナログならではの音の楽しみ方が見直されている」と語る。
さらに、デモテープを作る若い人たちも増加しているという。カセットテープならではの録音の手軽さとともに、「デジタル音源は、イントロ部分を聴いただけで、ボタンひとつで次の曲に飛ばされてしまうが、カセットテープでは最後まで聴いてもらえるというメリットがある」というように、アナログならではの効果も見逃せないからだ。
こうしたカセットテープの復権は、当然ラジカセに対するニーズも高まることにつながる。
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