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ライブストリーミング可能な合体水中ドローン 真の狙いは?

「飛躍 Next Enterprise」オースティンレポート後編

特集
SXSW 2018レポート

 日本全国から高い技術力や優れた事業アイディアを持つ中堅・中小・ベンチャー企業等を募り、シリコンバレーをはじめとする世界各地へ派遣を行なう「飛躍 Next Enterprise」(経済産業省)の2期目が展開されている。

 中でもオースティン派遣コースでは、毎年3月に開催される全米最大級のビジネスイベントであるサウスバイサウスウェスト(SXSW)での「Trade Show」でのブース出展が無料で提供される。今回選ばれた7社は現地でどのような出会いや気づきを得たのか。各社からは展示の手ごたえを動画とともに前後編のレポートでお届けする。

オープンイノベーション型のハードウェアスタートアップ

 Vanguard Industries株式会社は水中ドローンのデモを展示。

会場ではWi-Fiでの通信に加え、会場の環境に合わせRCを併用。左右のエンジンで移動

子機はコードリールで解放できる。個別エンジンもあるため自由に航行できる

 だが、じつは同社の本質は、既存の枠組みを超えた協業によるオープンイノベーション活性化にある。ハードウェアスタートアップではあるのだが、市場性がわからない、製品の価値が見えないものを既存企業と組んで新しい商品・新しいサービスを一緒に作っているという。

 ハードを作る理由は、IoT、ビッグデータ、AIなど、現代にあってはどの会社も取り組みたい領域になっているが、なかなかデバイスをつくった経験のある組織・企業は少ない。

 そういった悩みを解決するため、知的財産、ケイパビリティの活用によるコンシューマー向けのプロダクトの企画、開発を実施している。海外クラウドファンディングでの販売、マーケティングとコンセプトの検証を通じたモノづくりや実証実験まで、さまざまな大手企業との案件を進めているという。

 今回の出展も実際に作られた水中ドローンに対して、コンシューマー・ビジネスともにその需要や反応を見るためとしている。

 Vanguard Industries株式会社 山中聖彦CEO

チームコミュニケーションのレベルを上げる働き方サービス「Groovin」

 Miletos株式会社はリモートワーカー向けのコミュニケーションプラットフォーム”Groovin”(グルービン)のデモを展示。

 リモートワークの課題として、チームとしてのリアルタイムでのMTGの必要性が言われているが、集まりたくてもできないケースもある。そのような中でのコミュニケーションの生産性を上げ、チームの一体感を出すための部分を改善させるウェブサービスだ。

やり取り可能なユーザーが一目でわかる

 一見すると常時接続のビデオチャット環境に見えるが、その違いは速度とUIにある。ウェブRTC(Web Real-Time Communication)のエンジン自体を自社開発しているため、つながる速度がほかのサービスよりも圧倒的に速い。また常時接続のシステムからUIを調整。打ち合わせの設定、実施、議事録の保存を複数システムをまたぐことなく実現できるようにするのと、オフィスでのちょっとした一言をリモートワークで再現できるようになっている。

接続するまでの時間を比較。圧倒的な速度を実現している

 接続時のちょっとしたラグがなくなることで、チャットでは伝えるのが難しいが、打ち合わせを組むほどでもない相談レベルの会話が1クリックで実現できる。もちろんボイスだけでなく、会話を始めると動画でのチャットも可能。複数人のチームであっても、あっという間につながることができる。

 テキストコミュニケーションの場合、その伝達スキルの違いによっても、なかなかスムーズにいかないこともある。文字だけでは伝わりにくいこと、もしくはわざわざ書くまでもないコミュニケーションによって、組織カルチャー・チームでの一体感を意識したサービスだ。

 テレカンとの違いは、事前のアレンジがないこと。落としどころの決まった話にはテレカンが向いているが、アイデアからの雑談や創造的な部分といったイノベーティブな部分をカバーできるという。

 Miletos株式会社 朝賀拓視 代表取締役社長

日本酒が進むコミュニケーションデバイス

 Yume Cloudは、各種センサーを含んだガジェット「GLOW」を展示。

 エンターテイメント用IoTソリューションとして提供される「GLOW」は、 数千個を一台のスマホから同時にコントロールし、音や動きを、光や振動で表現できる。大規模スポーツイベント、コンサート、結婚式等のシーンで多様な表現や演出を想定しており、実際に使用されているところもあるという。

 今回の展示では、GLOWでの大広や東洋ガラスとのコラボ案件「MASUGLASS」を展示。グローバルでの日本酒の売り上げを伸ばすための解決策として、マスのグラスを使ったLEDでの演出を展示。各種センサーを組み合わせて、BGMに合わせたイメージでの光り方もできる。「お酒を楽しむ」コミュニケーションデバイスとしての提供を強く意識している。

ボトルを傾けると、いっせいにマスが光りだす

つぐ確度をかえることで、色も変化

 デバイスをベースにしつつも、そこに新たな価値を見出すことを重視して展開。今後、MASUGLASSは米アマゾンキッチンなどでの発売を予定している。

 Yume Cloud 吉田大輔CEO

世界一安い店舗BGMアプリ「Simple BGM」

 株式会社ワールドスケープが出展したのは、店舗BGMアプリ『Simple BGM』だ。

 世界一安価(同社調べ)な店舗BGMのサービスとして、既存サービスであれば月額3000~6000円かかる使用料を500円で提供している。安さの秘密は、同社がもともと展開していた音楽活動支援サービス「Frekul」(フリクル)からのインディーズアーティストとの直接契約にある。約7000組もの登録アーティストとの契約では中間マージンを廃し、アプリダウンロードのみでのシンプルな仕組みとなっている。

カテゴリー一覧

 基本的には、シンプルなBGMに使えそうな楽曲を提供。アーティスト本人にもバックが行く形で、既存のサービス以上のメリットがある形になっている。もちろん流行りのメジャーな楽曲があるわけではなく、バーやヘアサロン、ホテルやオフィスなどカテゴリー・雰囲気に合ったBGMがラインナップされている。

 利用はiOSから。アプリストリーミングで音楽が選曲され、グローバルで利用可能。会場での反応としては、SXSWらしくスポティファイやアップルミュージックとの違いを聞かれたというが、B2B展開という部分を説明すると納得したという。

 株式会社ワールドスケープ 田尻さよ氏

 日本の新進企業の海外進出支援を行う飛躍 Next Enterpriseはようやく2期目。日本企業の海外挑戦では、まだまだその第一歩を手助けする機会が求められている。SXSWだけでなく、今後も続けられるさまざまな挑戦に期待したい。

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