パーツはどうやって選ぶ?
今回の記事執筆にあたり、筆者はGH60クローン用パーツ一式を買い集め、実際に作ってみた。筆者がどういった順番で物事を決め、何をそろえたか見ていくことにしよう。
1 キーキャップ(実売価格:2000円〜1万円台)
前回キーボードを構成する大きな要素としてキースイッチの方式やタイプを解説したが、キーボードとして運用するには、キーキャップが必要不可欠。
Cherry MX互換のキースイッチを使うため適当なキーキャップで仮運用することもできるが、バシッと収まるべき所に収まった方が良い。そのため筆者はここから先に決めていく。
GH60クローン、つまり英語&Poker配列の60% TKLキーボード対応のキーキャップはユーザー数も多いため選択肢も豊富。さまざまなサイトを見回り、今回はキートップが階段状にならない「DSA」と呼ばれる形状(プロファイル)のキーキャップを選択。
2色成形(doubleshot)なので価格は張るが、白がキレイに出ること&絶対に印字がかすれない点が決め手となった。ちなみに、昇華印刷(印字がかすれる可能性はある)でよければ、Aliexpressのキーキャップセットを買う方がお得。だが筆者は少々高くても2色成形にこだわった。
2 基板(実売価格:3000円台〜)
キースイッチを選んでイメージを膨らませたところで、キーボードのコアともいえる基板の選定に入る。GH60クローン用基板はAliexpressで「keyboard PCB」で検索すれば山ほど出てくるが、基本この手の基板はキースイッチ以外のパーツはすべて実装済み、さらにデフォルトのファームウェアも書き込み済みで売られている。
GH60クローン基板を選ぶポイントは「選択できるキー配列の種類」と「ファームウェアのカスタマイズ方法」の2つだ。
選択できるキー配列とは、Enterを横長のANSI Enterか縦長のISO Enterを選べるとか、最下段のキーをPoker準拠かFilco「Minila」のようにカーソルキーを配置するか……などといった要素だ。さらに細かく見ると左右のShiftキーのサイズや最下段のキーのサイズにより、数種類の配列が選択できるものが多い。
ただこうしたキー配列を実際にそれを形にできるかは、後述するプレート形状の制約を強く受ける。スペースバーを分割した配列が良い場合は、それに対応したプレートが必須になる。このあたりがなんともややこしいが、分からなければデフォルトのPoker配列にしておけば一番無難だ。
2番目の選択ポイントとなるのが使用するファームウェアだ。筆者の知る限り「QMK firmware」、「TMK firmware」、「ps2RGB」のどれかが使われている製品が多いようだ。
QMK/TMK(この2つは兄弟関係にある)はややとっつきが悪いが設定ファイルを自分でコンパイルできる環境がそろっている。一方ps2RGBはQMKほど細かいチューニングはできないが、GUIベースの設定ツールが使える。伸びしろという点からは、筆者はQMKベースの基板(DZ60もQMK)をオススメしたい。
さて、キーボード基板は関連するパーツの「セット売り」になっていることも珍しくない。今回選択した「DZ60」の場合、「kit1」から「kit8」まであり、一番安いkit1は基板のみ、kit2ならスタビライザー付き、kit3はプレート付き、kit4以降は必要なキースイッチまでセットになる。
楽をしたいならこうしたセット売りのものを買ってしまうのが一番いい。キースイッチをセット品以外のものにしたいとか、プレートを色付きにしたい……といった場合はkit1〜kit3を選択しよう。
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