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VOXの「Adio Air GT(アディオ・エア・ジーティー)」および「Adio Air BS(アディオ・エア・ビーティー)」が今回のお題。Bluetoothスピーカーである。と、言い切ってしまっては語弊もあるが、ひとまずその視点で始めてみたい。
これまでにフェンダーの「MONTEREY」「NEWPORT」、マーシャルの「ACTON BLUETOOTH」「STANMORE BLUETOOTH」、ローランドの「JC-01」 と、ギターアンプメーカーのBluetoothスピーカーを試してきた。どれもオーディオスピーカーとしてはよくできていたが、見た目は完全にギターアンプであるにも関わらず、ギターのINPUTジャックがない。
そんな姿形をしていて、他人様の演奏を聴かせるだけでいいのか。そんな格好をしているのなら、ギターつながせろよ。いや待て、だったらギターがつながるBluetoothスピーカーがあるじゃないか。
という流れからのAdio Airシリーズである。実態としては、ギター/ベースのアンプシミュレーターを内蔵したスピーカーに、Bluetoothが付いていると言った方が正しい。が、その機能は多岐に渡り、レコーディング用のUSBオーディオインターフェースを内蔵し、スマホのアプリでプログラムチェンジができて、音を作ったり保存できたりもする。
実は、リモート制御できるアンプ、かつレコーディング機材でもある卓上オーディオ、という点で言うなら、ヤマハの大ヒット作の「THR」シリーズや、フェンダーの「Mustang GT」シリーズといった、同じコンセプトの製品がいくつもある。このセグメント、しばらく前から、ちょっときているのだ。
そこに割って入るAdio Airの価格は2万9800円。相変わらず安いぞ、VOX。そして総合出力50W。音もデカイぞ、VOX。普通に出力50WクラスのBluetoothスピーカーを買っても、これくらいするものもある。なので、まずは普段使いのBluetoothスピーカーとして、どれくらいいけるのか試してみたかったのだ。
レガシー感ゼロのデザイン
ヤマハのTHRシリーズは、あのディメンションでギターアンプ感がしっかり出ていて、デザイナーさんがんばった、えらいと感心したものだが、VOXのAdioはちっともギターアンプに見えない。レガシーな意匠、構造、材質は顧みられることなく、ばっさりカットオフ。ノブですらVOX伝統のチキンヘッドではない。
しかし、これはこれでデザイナーさんがんばったと思う。だって、これは伝統的なギターアンプとは違うものなのだから。
外観でそれとわかるのは、赤白緑のステッチが入ったダイヤモンドグリルクロスに、ブランドロゴのみ。ギター用のGTはゴールド、ベース用のBSはシルバー基調と色分けされている。シルバーの方が、ちょっとシックでいい気がする私はギターしか弾けないので、ちょっと悔しい。
どちらもストラップを付けたらオロビアンコのバッグのようだ。手持ち無沙汰ならクラッチバッグの代わりに持ち歩いてもいいんだぞ。そんな面持ちである。実際、重さは2.9kg。バッグのつもりで持っても軽い。背面にはハンドルも付いている。