さとうなおきの「週刊アジュール」 第1回
Azureから新機能が続々、VM、ネットワーク、ストレージのアップデートをまとめて紹介
連載初回から大長編です、Ignite 2017のIaaS新発表にキャッチアップ!
2017年10月06日 13時00分更新
IaaS関連のセッション動画はここをチェック!
AzureのIaaS関連機能のカバーしているものとして、MicrosoftのAzure担当のCorporate Vice President ジェイソン・ザンダーによる基調講演(General Session)の動画、ブログ ポスト「New advancements in Azure for IT digital transformation」があります。
Azure Availability Zones
AzureのIaaSで可用性ゾーン(アベイラビリティゾーン、AZ)を提供する「Azure Availability Zones」が発表され、プレビューが始まりました。Azureでは、(東日本リージョン、西日本リージョンといった)Azureリージョンは複数のデータセンターで構成されていますが、リージョン内のデータセンターを認識することはできませんでした。これまで提供していた「可用性セット」では、(同じWebアプリを提供するWebサーバーのVM群、レプリケーション構成された複数のデータベースのVM群など)特定のAzureリージョン(内の特定のデータセンター)に配置された、論理的に同じ機能を提供する複数のVMを、「可用性セット」としてグループ化することで、99.95%の月間アップタイムSLAが提供されていました。
Azure Availability ZonesにおけるAZは、特定のAzureリージョン内の、独自の電源、ネットワーク、冷却装置を備えたロケーション(簡単に言えばデータセンター)です。Azure Availability Zonesを使うと、特定のAzureリージョン内の特定のAZにVMを配置できるようになります。Azure Availability ZonesのGA (一般提供) 時には、可用性セットの代わりにAZを使うことで、さらに高い99.99%の月間アップタイムSLAを提供する予定です。
詳細は、ブログポスト「Introducing Azure Availability Zones for resiliency and high availability」、記事「Azureに登場した『アベイラビリティ・ゾーン』とは」、Azure Availability Zonesのドキュメントをご覧ください。
Azure Reserved Virtual Machine Instances
新たに発表されたAzure Reserved Virtual Machine Instances(Azure Reserved VM Instances)は、Azureリージョン、VMシリーズ、期間(1年、または3年)を指定して、一定のVMのキャパシティを予約します。これによって、従量課金に比べて、最大72%のコスト削減が可能になります。さらに、オンプレミスのSA(ソフトウェアアシュアランス)付きのWindows Serverライセンスを、Azure上のWindows Server VMに持ち込むことのできる「Azure Hybrid Benefit」を併用すると、Windows Server VMで従量課金に比べて最大82%のコスト削減が可能になります。
Azure Reserved VM Instancesは、年内に提供される予定です。詳細は、Azure Reserved VM Instancesのページ、記事「Azureからリリースラッシュ、『Ignite 2017』開催中」をご覧ください。
Azure Migrate
新たに発表されたAzure Migrateは、オンプレミス環境のAzureへの移行を支援するサービスです。オンプレミス環境の検出、アセスメント、依存関係のマッピング、Azure Virtual Machinesのサイジングなどが可能です。Azure Site RecoveryによるAzure Virtual Machinesへの移行(データベースの場合は、Azure Database Migration Serviceによる移行)がガイドされます。
Azure Migrateは限定プレビューであり、現在、VMwareベースのオンプレミス環境がサポートされています。今後数カ月で、Hyper-V環境や、レプリケーションベースのAzure Virtual Machinesへの移行がサポートされる予定です。
詳細は、ブログポスト「Announcing Azure Migrate」、Azure Migrateのページ、Azure Migrationセンターをご覧ください。
Azure Virtual Machines: 新しいVMインスタンス
VMインスタンスの新しいコンピューティング最適化シリーズとして、Fv2シリーズが発表されました。Fv2シリーズは、年内に提供予定です。また、新しいGPUインスタンスとして、今年5月のBuild 2017で発表済みだったNCv2シリーズ、NDシリーズが、間もなく提供開始になる予定です。詳細は、ブログ ポスト「New advancements in Azure for IT digital transformation」、記事「Azure仮想マシンが『オンデマンド・メンテナンス』に対応、インスタンスの種類も増えた」をご覧ください。
また、CPU集中型でないデータベースで、SQL ServerやOracle Databaseのライセンス費用を抑えるための、新しいVMサイズが発表、リリースされました。DSv2、GSといった一部のVMシリーズで、メモリ、ストレージ、IOの性能はそのままに、vCPU数だけを1/2、または1/4に抑えたインスタンスが選択できます。これによって、CPU数をベースにしたデータベースのライセンス費用を抑えることができます。詳細は、ブログポスト「Announcing new Azure VM sizes for more cost-effective database workloads」、記事「Azure仮想マシンが『オンデマンド・メンテナンス』に対応、インスタンスの種類も増えた」をご覧ください。
一部のAzureリージョンでの、Gシリーズ、Hシリーズの値下げも、発表されています。詳細は、ブログポスト「Cloud Platform Release Announcements for September 25, 2017」をご覧ください。
尚、VMのシリーズについては、Virtual Machinesシリーズのページ、VMサイズのドキュメントをご覧ください。
Azure Virtual Machines: 計画メンテナンスの新しいエクスペリエンス
Azureでは、VMの計画メンテナンスのほとんどは、VMの再起動を伴わず、VMが一時停止するだけの「インプレースVM移行」です。VMの再起動を伴う計画メンテナンスは、年に1回程度あり、今月にも予定されています。
VMの再起動を伴う計画メンテナンスでは、可用性セットに属するVMは、更新ドメインごとにローリングで再起動され、可用性セットに属さないVMは、指定されたメンテナンス時間枠のどこかで再起動されていました。
次回の計画メンテナンスから提供される新しいエクスペリエンスでは、連絡された時間枠の中で、自分が指定したタイミングでVMの再起動(再デプロイ)をスケジュールすることができるようになりました。これによって、アプリケーションにとって都合の悪いタイミングにVMの再起動が起きないようにすることができます。
また、Azureポータル内の通知、メールなどのアラート、VM内部から取得できる「スケジュールされたイベント」などの形で、計画メンテナンスの情報を確認できるようになりました。
詳細は、ブログポスト「A new Planned Maintenance experience for your virtual machines」、「[告知] 再起動を伴う仮想マシン メンテナンスのご案内」、記事「Azure仮想マシンが『オンデマンド・メンテナンス』に対応、インスタンスの種類も増えた」、計画メンテナンスのドキュメント(Linux、Windows)、計画メンテナンス通知ドキュメント (Linux、Windows)、スケジュールされたイベントのドキュメント(Linux、Windows)をご覧ください。
Azure Automation: VMの更新管理、インベントリ、変更追跡
Azure Automationは、クラウド環境で頻繁に実行するタスクをRunbookで自動化する機能です。Azure Automationの新機能(プレビュー)として、WindowsやLinuxのVMに対して、OSの更新(アップデート)の管理、(VMにインストールされたアプリケーションなどの)インベントリ管理、VMに対して行われた変更の追跡が可能になりました。AzureポータルのVMブレードから、これらの機能にアクセスできます。
詳細は、ブログポスト「Automation and configuration of Azure, on-premises, and hybrid cloud resources at scale」をご覧ください。
次は、運用管理、監視に関連する新機能を紹介しましょう。
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