「Microsoft Ignite 2017」にみるAzureの進化 第6回
「Ignite 2017」のCorey Sanders氏セッションをレポート(後編)
大胆に機能拡張、コンテナーを1個から作成して秒課金する「Azure Container Instances」
2017年10月04日 12時30分更新
マイクロソフトは米国時間9月25日から29日にわたり、フロリダ州オーランドで年次カンファレンス「Ignite 2017」を開催した。本稿では、Microsoft Azureの新機能とロードマップが多数発表されたCorey Sanders氏(マイクロソフト Azure Computeディレクター)のブレイクアウトセッションの内容をレポートする。Sanders氏によるAzureのIaaS関連の新発表をまとめた前編に続き、後編ではコンテナー関連のトピックをまとめて紹介する。
Azureのコンテナー関連サービスの階層
まずSanders氏は、マイクロソフトのコンテナー関連サービスを、(1)インフラ、(2)コンテナー管理基盤(コンテナーオーケストレーター)、(3)クラスターレス(クラスターを作成せずにコンテナーを使えるサービス)の3層に分類し、位置付けを解説した。
1層目、コンテナーのインフラとしては、IaaSの仮想マシン(VM)、コンテナーを1個から作成して秒単位で課金する「Azure Container Instances(ACI)」がある。ACIは7月にパブリックプレビュー版がリリースされたばかりだ。
2層目、コンテナー管理基盤は、コンテナーのパッケージ化とデプロイ、管理を簡単に行うことができるマイクロサービス基盤「Azure Service Fabric」をマイクロソフト独自実装として提供しているほか、OSSのkubernetesもAzureでサポートする。Service Fabricは、Azureだけでなく、開発マシンやオンプレミスのインフラ、他社クラウド上でも動作し、コンテナーだけでなく様々なアプリケーションを展開できる。3層目、クラスターレスでコンテナーを使うサービスには「Web Apps」を位置付けた。
ACIがService Fabricと統合、Windowsコンテナーもサポート
新発表として、Sanders氏は「ACI for Windows」、「ACI on Service Fabric」の提供をアナウンスした。ACIは、これまでLinuxコンテナーのみをサポートしていたが、今回、Windowsコンテナーの作成、デプロイにも対応した。また、Service FabricにACIを統合し、Service Fabric上にACIを使ってコンテナーを作成できるようした。
これらの新機能を組み合わせたデモとして、Sanders氏は、まずACIでWindowsコンテナーを作成し、同じWindowsコンテナーをService Fabric上にデプロイする様子を披露した。
続いて、Service FabricのLinux版のGA(一般提供)を発表した。Service Fabricは前述のようにAzure上だけでなく開発マシンやオンプレミスでも動作する。これまで、動作環境はWindowsのみをサポートしていたが、今回Linuxにも対応した。
最後に、「Azure Web Apps」がLinuxコンテナーのデプロイをサポートすることを発表(GA)した。Web AppsはWebサーバーをホスティングする基盤だが、今後はLinuxコンテ―のホスティングにも対応する。ベアなLinuxコンテナーを作成するだけでなく、Docker Hubで配布されているイメージを展開することもできるとしている。
OSSのコンテナーテクノロジーもしっかりサポートしていく
今回のセッションでは、ACI、Service Fabricといったマイクロソフト独自実装のコンテナー関連サービスの機能強化を多く紹介したためか、セッション終わりにSanders氏はあらためて、AzureはOSSのコンテナーテクノロジーとも密に連携しているのだと強調した。
Service FabricにACIが統合されたが、ACIはkubernetesとも密に機能連携しているし、Azureでコンテナーを一括展開する「Azure Container Service(ACS)」もkubernetesを選択できるとSanders氏は述べている(ACSはDC/OSやDocker Swarmも選択できる)。
さらにSanders氏、Azure上でのコンテナー実行基盤として、MesosphereのDC/OS、PivotalのCloud Foundry、Red HatのOpenShift Enterprise、Dockerといったパートナーソリューションをサポートしている点も重ねて強調した。
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