5200mAhの大容量バッテリー搭載
Bluetoothスピーカーの機能は、ごく普通。Bluetooth 4.2に準拠して、コーデックはapt-X、AAC、SBCに対応。マイク内蔵で通話にも対応し、着信対応用の「TALK」ボタンも付いている。
フェンダーらしいのは、電源投入、ペアリング待機、ペアリング成立、そのほかの動作ポイントで、通常のビープ音に替えてギターのサウンドが鳴ること。各々が丁寧に録られたニュアンス豊富なフレーズで、これは実際に購入してからのお楽しみ。だが、このギター音は常に一定の音量で鳴り、ボリュームを「0」にしてもミュートできない。
内蔵するリチウムイオンバッテリーは5200mAhの大容量で、3時間のフルチャージで最大12時間再生できる。ついでにモバイルバッテリーとしても使えるよう、給電用のUSB端子も付いている。レジャー用に1台持っていくと、便利に使えるスピーカーでもある。
スピード感あるタイトなローエンド
ユニット構成はフルレンジ発とツイーター1発。メーカー公式のスペックにユニット口径の記載はないが、見たところウーファーはだいたい6cm、ツイーターは2cm程度のように見える。いさぎよくパッシブラジエーターはない。
最大出力は30W。ギターアンプの感覚で言えばバンドの中で戦えるような大出力だが、そこは全然大したことがない。机の上で徐々にボリュームを上げていくと「ちょっと大きいかな? や、上げすぎた、ちょっとうるさい」と思った頃には、音はバリバリに歪んでいて音楽どころではなくなっている。つまり、室内でリスニングに使うには、ちょうどいいパワーだ。
その程度のパワーで鳴らすと、これが実にいい。小型フルレンジユニット2発にツイーターという組み合わせは、中高域の解像感、そして強弱のはっきりしたダイナミックさをもった、スピード感ある低域を再生するのにはもってこいのようだ。帯域バランスも小型のモニタースピーカーのようで好ましい。
パッシブラジエーターとDSPで低域を盛りまくったこのクラスのスピーカーは、たしかに低域の音圧感には恐るべきものがあるのだが、残響の多いフロアで聴いているような感じで、いまひとつ低域の収束が良くない。そこが臨場感ということでウケる要素なのだが、スタジオでタイトに録られた「ガツン」と前に出て来る感じのキックとベースは、ソリッドさが削がれてしまって台無しになってしまう。
このスピーカーはユニット構成からわかるとおり、モノラル再生にはなってしまうが、小型でステレオ構成にしても、大した音場感は得られないので、レイアウトとしては正解だ。少々お高いが、大人向けのド直球ストレートなサウンドは、たしかにフェンダーのアンプらしいのかなと思った。
次回は120Wの大パワーを誇る大きい方のフェンダー製Bluetoothスピーカー「MONTEREY」をチェックしてみたい。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
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