NTTデータの三鷹データセンターにEnterprise Cloudを展開
ハイブリッドITを見据えたNTTデータとNTT Comのクラウド協業
2017年08月30日 07時00分更新
8月29日、NTTデータとNTTコミュニケーションズはハイブリッドITに向けたソリューション連携を発表した。NTTコミュニケーションズの「Enterprise Cloud」を「NTTDATA 三鷹データセンターEAST」に展開し、デジタルビジネスとミッションクリティカルの環境をフルスタックで提供する環境を構築する。
NTTデータの三鷹データセンターでEnterprise Cloudを提供
今回のソリューション連携には、基幹業務で求められる信頼性や性能を重視した「トラディショナルICT」と、AIやIoT、FinTechなどのデジタルビジネスで必要な俊敏性や柔軟性にフォーカスした「クラウドネイティブICT」の連携が求められてきているという背景がある。SIerとして基盤からアプリケーションまでをカバーしてきたNTTデータと、クラウドやネットワークをグローバルで展開するNTTコミュニケーションズがタッグを組むことで、2つの異なるICTを統合的に提供するのがソリューション連携の大きなポイントだという。
連携のための拠点として選んだのが、2018年4月に提供開始予定の「NTTDATA 三鷹データセンターEAST」になる。NTTDATA 三鷹データセンターEASTは最大収容ラック数5600、最大受電容量4万kVAを誇るNTTデータのフラグシップデータセンター。72時間の無給油連続運転可能な非常用発電設備や最新の免震設備を採用し、高い信頼性と可用性を誇る。このNTTDATA 三鷹データセンターEASTにおいて、NTTコミュニケーションズは15番目の拠点として企業向けクラウドサービス「Enterprise Cloud」を提供する。
Enterprise Cloudは専有型クラウドとOpenStackベースの共有型クラウドで構成されたハイブリッドクラウドサービスで、マルチクラウドとの接続を実現する「SD-Exchange」、NFV・SDNを活用したグローバルVPNサービス「Arcstar Universal One」、インターネット接続サービス「OCN」などのサービスを備える。こうしたNTTコミュニケーションズのクラウドサービスと、NTTデータのシステム運用やマネージドサービスを組み合わせ、トラディショナルICTとクラウドネイティブICTをフルスタックで提供する。
デジタルビジネスとミッションクリティカルの連携は不可欠
共同発表会で登壇したNTTデータの山口重樹氏は、AIやIoT、FinTechなどいわゆる「攻めのIT」にユーザーが大きな興味を示していると説明。「先進的なデジタルビジネスだけでなく、ミッションクリティカルとの連携が不可欠。多様化するITの一元的な管理が必要になっている」と語る。
また、山口氏は、「NTTデータは今まで特定のお客様にアプリケーションから基盤までを一気通貫で提供してきた。そのため、(NTTコミュニケーションズのように)データセンターを幅広く売るモデルではなかった」と語り、NTTコミュニケーションズと連携することで幅広いユーザーをカバーできるとしている。そして、Enterprise Cloudについては、「柔軟でスピーディに提供できるほか、ネットワークも強力。グローバル展開も進んでいる」と高い期待を示した。
一方、NTTコミュニケーションズの森林正彰氏は、「ERPのような基幹システムやAIやIoTなどのデジタルビジネスにマネジメントをかぶせ、トータルで提供できる」と協業の強みをアピール。また、「NTTデータのお客様も徐々にクラウドを指向するようになっている。今回の協業で、クラウドもいっしょに提供でき、お客様のデータセンターのマイグレーションや基幹システムの移行を支援できる」と期待を寄せる。
競合となるグローバルクラウドに対しては、「すべてがVM100個をすぐにほしいという案件ではない」(森林氏)と述べ、トラディショナルICTとの統合に強みがあると説明。一方で、グローバルクラウドとの接続を実現するSD-Exchangeを活用することで、パブリッククラウドを含めたトータルな可視化ができるとアピール。ユーザーのニーズに基づき、複数のクラウドを統合的に活用できる環境を提供するという。
今回のソリューション連携は両社のチャネルで販売を推進し、2020年までに1000億円規模のビジネスに拡大させる見込み。三鷹データセンターEASTでの協業モデルもグローバルに展開していく予定となっている。