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「調べる」から「アシストする」へ

進化するGoogle マップ、新機能の開発の裏側

2017年08月21日 09時00分更新

文● 西田宗千佳 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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選んだ店をスクロールすると、グーグルが取得した情報量によって混雑状況などが表示される

機械学習も使って「質問」を用意

 現在のGoogleマップを見ると、店舗などの地点情報として、かなり多彩な情報が表示されるようになっていることに気付く。その店がどんな店舗なのかはもちろん、どういう時に向くのか、何時にどのくらい混雑しているのか、といった情報が出るようになっている。

後藤さん 店舗の混雑情報などは、交通機関の混雑状況などと同じように、ユーザーの利便性を考えて出すようになりました。一方で、それらがすべて「自動的に」判別されているか……というとそうでもないんです。店舗に「どのくらいの時間いるのか」ということは、いかにも位置情報から自動判別できそうに思えるのですが、そうではありません。時々質問を出して、そこに答えてもらう形で情報を集めています。

以前、訪れた場所であれば「質問カード」がポップアップで登場する

 Googleマップのアプリを使っていて、アプリから「質問に答えて欲しい」というポップアップを受けた経験のある人はいないだろうか? 現在のGoogleマップでは、滞在した場所などの情報を、ユーザーに時々問いかけるようになっている。もちろん、答えるか否かはユーザーの判断によるもので、完全なボランティアベース。答えても答えなくてもマイナス要素はない。

 しかし、そうやって少しずつユーザーから地点情報を集めていくことで、マップの上に「地名」だけでない価値を積み上げているのだ。

 ではどうやって、誰に、どんな風に質問を出しているのだろう?

後藤さん 社内でも半分研究開発のレベルでやっているのですが……。
 いろんな人が色んな意見を出します。属性によっても人によっても異なります。それを計算し、「どのくらい確からしいのか」も算出していたります。あまり質問を出し過ぎてもつらいですし、どういう質問を出すべきか、ということも重要です。なのでそうした部分を、機械学習など様々な力を使い、最終的にはユーザーに使いやすい属性に変える……ということをやっています。
 質問機能自体は相当昔から研究開発していたのですが、製品に入れてきたのはここ1〜2年くらいですかね。具体的に誰にどんな質問が出るのかは、日々色々トライアルもしていて変化するため、細かい点はお伝えできないのですが、心地よく答えてもらえるように、工夫しています。

軸になる「ロケーション履歴」機能

 もちろん、これらの機能を理想的に使うにはいくつかの前提条件がある。ひとつ大きいのは、Googleアカウントの「ロケーション履歴」をオンにしておくことだ。ロケーション履歴とは、スマートフォンから得られる自分の位置をグーグル側に記録する機能。もちろん、自分以外に公開されることはない。自分のGoogleアカウントをのぞかれない限り、他人は見られない。

自宅や職場の住所は自分で入力、もしくはロケーション履歴から自動判断される。ロケーション履歴を有効にするかどうかは、ユーザー側で簡単に設定できる

 グーグルは各種アシスト機能について、この情報を軸に提供する。自宅やオフィスといった「よく行く場所」「長時間いる場所」は自分で登録することもできるが、ロケーション履歴からも自動判別される。本質的には、サービス全体の品質向上と、あなた個人への情報提供に使われるものであり、プライバシーは配慮されている。

 一方で、グーグルにすべての情報を記録されたくないので、設定をオフにしている人もいるだろう。そこは個人の判断だ。グーグルとしては、いかに「オンにすることで便利になるか」をアピールする必要があり、Googleマップの進化は、そのひとつといえそうだ。


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