7月25日、NECはAIを活用した業務効率化や自動化の推進を進めるx86サーバー「Express5800シリーズ」の新機種を発表した。ディープラーニングソフトウェアのGPU対応や顔認証の性能を高めるFPGA搭載モデルも投入。故障予知を可能にする新保守サービスも発表された。
機械学習に最適な新製品やサーバーの故障予知サービスを発表
今回の発表では、まず機械学習プラットフォーム「NEC Advanced Analystics -RAPID機械学習」(以下、RAPID機械学習)」の画像解析版がGPUに対応した。GPUを搭載したExpress5800シリーズと組み合わせることで、従来比で約10倍の学習時間を1/10、予測処理数を10倍高速化できるという。製造業の工場ラインでの部品検査などで必要な目視検査の負荷を大きく軽減できるという。GPU版とCPU版が用意されており、GPU版が2250万円、CPU版が375万円となる(ともに税別)。8月1日から出荷開始される。
また、「NeoFace Accelerator Platform」はExpress5800に専用FPGAを搭載し、同社の顔認証エンジンである「NeoFace」を大幅に高速化するプラットフォーム。顔認証でもっとも時間のかかる顔検出の処理を最大20倍高速化。GPUに比べて、消費電力も約1/10に抑えられるという。スタジアムなどでの迷子対策やセキュリティ対策においても、少ない人数で最大限の監視効果を得られるという。出荷は2017年度下期の予定。
さらにサーバーの自律運用を支援するサービスも強化し、ハードウェア保守サービスの一部として「サーバ診断カルテ」を提供する。こちらは対応機種のログ収集機能を活用して、普段と異なるふるまいを検知。機器の稼働状態の見える化を実現するほか、AIによって故障予兆を検知し、レポーティングも提供する。リモート運用支援サービスも強化され、情報システム部の負荷軽減を実現するという。サービス開始は2017年9月の予定で、AIによる故障分析は2018年度より提供予定。
GPU搭載モデルを用意し、性能向上を図った新サーバー
x86サーバーの新モデルとしてモジュラー型サーバー1モデルとラックマウント型サーバー2モデルの計3モデルも追加された。全モデルで最新の「インテル Xeon プロセッサー Scalable ファミリー」を採用し、サーバ診断カルテに対応。仮想サーバーの統合やAI、ハイパーコンバージドインフラでの利用を前提とする。
「D120h」は2Uのエンクロージャーに4ノード、2ノードのサーバーモジュールを搭載可能な2Wayモジュラー型サーバー。最大26コア対応の最新Xeon CPUを採用し、メモリも1ノードあたり2TB搭載可能。これにより、従来機よりも25%の性能向上を実現した。HDD/SSDを最大24台まで搭載でき、AI用途向けにGPUボードを搭載可能な2ノード搭載モデルもラインナップした。1ノードの希望小売価格(税別)は37.5万円~。
また、「R120h-1M」「R120h-2M」は2Wayラックマウント型サーバー。最大28コア対応の最新Xeonを採用し、CPUラインナップも大幅に拡充。内蔵ストレージをR120h-2Mで最大30台、R120h-1Mで最大11台搭載できるほか、拡張スロット数も強化。新たに防塵フィルターに対応し、温湿度の対応も強化された。希望小売価格(税別)は、R120h-1Mが56.8万円~、R120h-2Mが64万円~となる。
AIという技術に対する興味が高まっている
発表会で登壇したNEC 執行役員の西村知泰氏は、「AIの技術が実用的になってきた。今まで自動化やIT化が難しかった領域が、人のノウハウをデジタル化することで開拓できるようになってきた」と指摘。AIに最適な製品群の投入により、リアルタイム性を高めた新ビジネスを創出したり、自動化を推進することで業務の効率化・省力化を推進していくと説明した。
続いて登壇したNEC ITプラットフォーム事業部長代理 馬渕淳氏は、日本の労働力人口が減少する社会課題について概説。特に製造業やサービス業、情報システム部門、バックオフィスの4領域で人手不足の影響が顕著になってきていると指摘した。
これに対してNECはAIを活用したさまざまなソリューションや事例を抱え、現場の課題に応えているとのこと。製造業の生産ラインの品質向上や不良品検知、人材採用のマッチングの効率化やコールセンターの定型業務の自動化などでAIを活用し、労働力不足に対応しているという。馬渕氏は、「事例の問いあわせは近年増えており、AIという技術に対してお客様が非常に興味を持たれている」と語る。