今春有機ELテレビを発売した各社を取材し、それぞれの特徴を探っていく本特集。今回は、薄型テレビはもちろん、家電全般をカバーする総合メーカーであるLGエレクトロニクス。有機ELテレビに積極的なメーカーだ。
3年目の有機ELテレビ、ラインナップが豊富!
海外では2013年から有機ELテレビの発売をスタートし、日本でも2015年に発売を開始。2016年は国内では唯一、有機ELでの4シリーズものラインナップを展開していた。
LGエレクトロニクスは、家庭用の有機ELテレビだけではなく、有機ELの薄さや曲げ加工が可能なフレキシブルディスプレーとしての特徴を訴求するため、デジタルサイネージなどの業務用途のディスプレーなども積極的に展開している。
たとえば、本国である韓国の国際空港では、垂れ幕のように湾曲したディスプレーで構成した波形ディスプレーを実用化しているし、円筒状のトンネルの内部を全面ディスプレーとするなど、今までにないディスプレーを実用化してきている。
家庭用の有機ELテレビとしては、2016年から継続となる「OLED 77G6P」(実売価格 297万円前後)に加えて、新たに3シリーズを投入した。
最上位となるのが「W7P」シリーズで、65V型(実売価格 95万円前後)と先日発表された77V型(6月23日発売予定、予想実売価格 270万円前後)。ちなみに、77V型サイズの有機ELテレビは、国内では同社のみが製品化を実現している。
さらに、ミドルクラスモデルとなる「OLED 65E7P」(実売価格 81万円前後)、スタンダードモデルの「OLED 65C7P」(同65万円前後)、「OLED 55C7P」(同38万円前後)。ほかでは真似のできない充実した品揃えだ。
こうした複数のラインアップを展開するものの、画質の良さで注目を集める有機ELテレビだけに、すべてのシリーズが「ULTRA HD PREMIUM」の認定を取得。
画質や音質についての技術的な部分は同様(2016年モデルのG6PはAtmosに対応しないなど若干異なる)なので、あとはユーザーが自分の部屋に置きたくなるデザインなどで選べるようにしている。独創的なデザインで、世界中の薄型テレビのトレンドをリードするLGエレクトロニクスらしい展開だ。
ピーク輝度25%アップ! 最新鋭の有機ELパネルを搭載
まずは今年発売の最新モデルの全体像から見ていこう。有機ELパネルは2017年仕様の最新のものを採用。大きな特徴はピーク輝度を25%向上し、より明るい映像が楽しめるようにした。
有機ELは自発光のため、液晶に比べるとピーク輝度でやや劣り、明るい部屋での見え方では液晶の方が優位になるとも言われるが、ピーク輝度を高めることで液晶と遜色のない明るい画面を実現。
これは「エブリディ・ピクチャー・クオリティー」と呼ばれており、暗い部屋だけでなく、一日中どんな環境でも美しい映像を楽しめることを目指している。
ピーク輝度の向上だけでなく、映画のシーンの約9割を占める中間輝度が50%以下の薄暗いシーンをより明るく再現するような映像表示技術を盛り込み、テレビ放送はもちろん、映画などもより明るく見やすい映像を実現しているのだ。
HDR技術などが盛り込まれた次世代映像技術である「Dolby Vision」対応については、近々国内でもUHD BDソフトが発売されるが、それらの再生に対応する。4K放送などで採用される「HLG」(ハイブリッド・ログ・ガンマ)にもアップデートで対応予定となっている。
そして、音にこだわる人にもうれしいのが、最新鋭のサラウンド規格である「Dolby Atmos」にも対応すること。いずれのモデルも内蔵スピーカーで、前後左右に加えて高さ方向の音も再現できる立体的なサラウンドを楽しめるのだ。
こうした最新の映像・音声規格に対応するのは、長く愛用できる信頼性のため。「NETFLIX」などの動画配信サービスにもいち早く対応し、最新のコンテンツやサービスを誰でも手軽に楽しめるようにしている。これはLGエレクトロニクスのポリシーのようだ。
ただし、最上位モデルもスタンダードモデルも画質性能は同等とするのは社内でも議論があったようだが、結果として有機ELテレビはいずれも最高レベルの画質を楽しめるということを強く意識した製品となった。
それだけに、有機ELテレビとしては比較的安価な価格となっている「C7P」シリーズはかなりお買い得度が高いモデルになっているとのことだ。
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