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有機ELテレビメーカー4社を巡って技術を解説! 第3回

有機ELテレビは壁に貼る! LGエレクトロニクスが実現した次世代のテレビスタイル

2017年06月14日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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明るい環境でも深みのある黒と色鮮やかな映像が楽しめる!

視聴してみた!

視聴してみた!

 OLED 65W7Pでいくつかのデモコンテンツを視聴した印象について触れていこう。視聴は明るい環境向けの「あざやか」モードで部屋を明るくして行なったが、明るさが不足した感じもなく、色鮮やかで黒のしっかりと締まった映像を楽しめた。

 色がくっきりと出た鮮明な映像はまさに有機ELのコントラストの高さがよく出ているし、輝度的な力強い輝きも見事なものだ。

 これは、HDRコンテンツではしっかりと高輝度を再現できるが、一般的なSDRの映像でもHDRに近い映像を再現する技術も備えている。それがDolby Vision技術を応用した「アクティブHDR with Dolby Vision」。

 Dolby VisionでのHDR再現の仕組みを利用して、SDR映像の高輝度部分をHDRに近い再現をするものだ。

 UHDブルーレイで採用されている「HDR10」規格では、ひとつのPQカーブが採用されており、暗部から明部の再現はひとつのコンテンツで変化しない。

 しかしDolby Visionは、シーンごとにPQカーブを変更することが可能で、暗いシーンや明るいシーン合わせた最適な再現が可能になる。

 「アクティブHDR with Dolby Vision」では、そのほかのHDR映像でもこの技術を応用してシーンごとにPQカーブを変化させるので、よりダイナミックレンジが広がったような映像再現が可能になるのだ。これは、LGエレクトロニクスの有機ELテレビの大きな強みと言えるだろう。

 そのため、SDR映像のデモコンテンツでもHDRに近い輝きが得られる。より豊かな輝きが得られ、画面全体の明るさも高まっているため、映像の精細感がよりよくわかる。

HDRの方式に応じてモードを選択できる

 そして今度はHDRの映画コンテンツを照明を落とした環境で見てみた。映像モードはHDR仕様の「シネマダーク」を選択。照明を落とした環境でのおすすめの映像モードだ。ここでは黒の締まりと暗部の見通しの良さがしっかりと出て、映画のようなコンテンツにぴったりの階調の豊かな映像を楽しめた。

 それ以上に驚くのが、Dolby Atmosの音響だ。広い展示スペースでの視聴のため、決して音にとって最適な環境ではないのだが、前後左右の広がりはもちろん、高さ方向の音の広がりも豊かに再現される。

 音が自分の周囲をぐるりと回るような感覚もあるし、Dolby Atmosらしいシームレスな音場がしっかりと再現できている。後方などにスピーカーのないサウンドバースタイルのスピーカーとしては驚きの再現力だ。肝心の音も明瞭で聴き取りやすいもので、低音の迫力も十分。

 また、ちょっと面白かったのが静止画をスライドショー再生する「ピクチャーギャラリー」機能。プリセットされたテーマには、窓の外の景色を表示するといったものがあり、窓枠の向こうに広がる景色を楽しめる。

 晴れの海では時間経過によって日が沈んでいく場面に変化していくなど、なかなか楽しい。しかも、その音はDolby Atmos再生のようで、波の音が豊かに広がって再現される。

 雨の景色では雨が降っている音が自然な広がりとなり、まさしく窓から景色を眺めているような気分になれる。個人的にはあまりこうしたスライドショー再生に興味はなかったが、これだけの臨場感があると、BGM的に使うのも楽しいと思えてくる。

壁がテレビになるという次世代の姿に感動

イメージ

 壁そのものが画面になってしまったかのような見た目は素晴らしいし、テレビを見ているのとはまるで違う印象になる。発表されたばかりの77V型となれば、さらに迫力のある映像体験になるに違いない。

 これはまさしくテレビの未来の姿と言えるもの。まだ一般的な価格とは言い難いが、ぜひとも一度体験してみてほしい。

 さて、次回は東芝の有機ELテレビについて紹介する。国内勢としてはいち早く登場させ、5月末には画質アップデートを行なうなど、力の入ったモデルとなっている。

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