「kintone(キントーン)」というサービス名を耳にしたことがある人は多いだろう。サイボウズ社が提供しているウェブサービスで、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」となる。
自社の業務で使うシステムの作成、と聞いて「あ、何百万円もするのね」と思ったならちょっと違うので、要チェック。利用する1ユーザー当たり、ライトコースなら月額780円、スタンダードコースなら月額1500円で利用できるのだ。
では次に興味を持つのが何ができるのか、というところ。業務システムをアプリとして手軽に作成でき、いろいろなことを実現できるのだが、この何でもできる感が理解しにくいところでもある。
まずは会社の現状を考えてみよう。例えば、業務でエクセルを使っている会社は多いのではないだろうか。顧客リストや備品・在庫の管理をしていたり、届いた問い合わせやクレームを記録したり、社員名簿を作っているかもしれない。議事録を作ったり、見積書を出す際はワードを使っているかも。旅費精算はメールで申請したり、下手をするとアナログで紙が必要になるところもあるだろう。
多岐にわたる情報をファイルで管理する場合、いろいろな問題が発生する。あちこちにファイルがあると最新版なのか古いのかわからなくなることがある。データが溜まってくると、ファイルが重くなり非力なPCだと操作に時間がかかるようになる。スマホでエクセルを作業するのは難しいので、PC作業のためだけに外出先から会社に戻ることもあるだろう。
kintoneはクラウドサービスなので、これらすべてをウェブ上で動作させることができる。ファイルの管理から解放され、PCからでもモバイルデバイスからでも利用可能。業務のプロセス管理やユーザー同士のコミュニケーション機能も充実している。
するとどうなるだろうか。データがクラウド上にあるので、どの端末からでもサクサク利用できる。常に全員が最新の情報にアクセスでき、ファイルの取り違えなどは発生しない。スマホで手軽に利用できるので、外出先で日報作成や旅費精算、案件管理などの業務を終了させて直帰できるようになるかも。何かの申請を出している場合、上司が外出中でもスマホでサクッと承認し、業務がスムーズに進行する。
ユーザー同士がコミュニケーションを取れるので、ボールを誰が持っているのか、というプロセス管理も簡単・明確に。何より、業務が見える化するので、属人化を防ぐことができる。すると、新人や後任に業務を引き継ぐのも手間がかからない。
もう魔法のツールのようで、かえって信じられないだろうか。もちろん、導入時に自社の業務に合わせてカスタマイズする必要があるが、プログラミングの知識なしで、サーバーなどのハードウェアを用意することなく、導入できるのだ。
価格は前述の通り、ライトコースは1ユーザーごとに月額780円。作成できるアプリ数などが多く、API・JavaScriptが使えるスタンダードコースでも月額1500円でOK。しかも、スタンダードコースと同じ内容を30日間無料で試用できるお試しコースも用意されている。誰でも無料でアカウントを作成し、kintoneに触れられるのだ。
これだけ安くて手軽そうだと、スタートアップとか中小企業向けのサービスと思う人がいるかもしれない。もちろん、コストを抑えたい企業にもぴったりだが、大企業の導入実績も多い。例えば、DeNAは申請業務に、SHIDAXはFAQ管理や帳票の作成に、ソフトバンクはプロジェクト管理などにkintoneを導入しているのだ。
本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。
この連載の記事
-
第116回
デジタル
kintoneに生成AIのパワーを!カスタマインのChatGPT連携を試してみた -
第115回
デジタル
ChatGPTをkintoneで使える連携プラグイン「Smart at AI for kintone Powered by GPT」を試してみる -
第114回
デジタル
kintoneのデータを添付ファイルごとエクスポート/インポートしたい -
第113回
デジタル
幕張メッセで「サイボウズデイズ2023」開催! 注目ブースを突撃取材 -
第112回
デジタル
Zoomの録音をkintoneに登録し、ChatGPTに議事録を生成させる連携にチャレンジ -
第111回
デジタル
kintone×kViewerで飲食店の会員向けページを構築してみた -
第110回
デジタル
kintoneのライトコースで全銀データを作成する方法を聞いてみた -
第109回
デジタル
kintone仲間と出会える! 楽しく学べるkintoneコミュニティの歩き方 -
第108回
デジタル
超絶苦手な請求書作成と発送・送信業務をkintoneで半自動処理させてみた -
第107回
デジタル
krewDataで売上管理のCSVからデータを取り込み店舗ごとの予実管理を自動集計する -
第106回
デジタル
IoTエッジデバイス「Gravio」で取得したCO2濃度をkintoneに記録する - この連載の一覧へ