テレワーク環境や在宅勤務制度を自社に整備して「働き方改革」を推進する日本マイクロソフト。2017年からは、Office 365に実装されたAI(人工知能)機能「MyAnalytics」を活用し、社員一人ひとりの業務の生産性を高めることに取り組んでいる。4月17日、同社 代表取締役 社長の平野拓也氏が、MyAnalytics導入で得られた効果を説明した。
MyAnalytics(旧Delve Analytics)は、Office 365のExchange Online経由のメール、Outlookに登録されたスケジュールの内容を分析し、社員個人に向けて業務の改善提案をするサービスだ。会議、メール処理、(会議もメールもしない)集中した時間、残業時間を分析するとともに、「会議中にメール処理をしている」「同じ人と会議に同席している」といった傾向を分析して、「~さんが開催した会議でマルチタスクをこなすことが多いが、その会議は義理で出席していませんか?」のようなメッセージを表示する。
あくまで社員に自らの働き方について気づきを与えることを目的としたツールで、管理者が社員を監視するものではない。MyAnalyticsでは自分の業務についての分析結果が本人のみに通知される。
同社では、2016年12月から2017年4月にかけて、MyAnalyticsを使用することの効果について社内実証プロジェクトを実施した。人事・ファイナンス・マーケティング・営業の4部門41人を対象に、MyAnalyticsの分析結果、およびMyAnalyticsの提案によるアクションなどの個人データを提供してもらい、集計した。
その結果、ファイナンス部門では無駄な会議時間が27%削減、人事部門では集中して作業する時間が50%増加、4部門合計で3579時間が削減されていたとする。「この時間を、従業員2000人規模の企業における一般的な給与で残業代に換算した場合、年間7億円に相当する」(平野氏)。
同社はそのほかにも、3月15日にリリースしたばかりのチャットツール「Microsoft Teams」のBOT機能を活用した会議時間調整や、「Skype for Business」を使ったリモート会議で仕事の生産性を高めているそうだ。また、1月に品川本社に30台の「Surface Hub」を設置した。
「Windows 10を搭載したSurface Hubは、Office 365やPower BI、Skype for Businessとも連動する。Power BIで経営数字の分析結果をリアルタイムに把握しながら、必要に応じて担当者をSurface Hub上にSkypeで参加させるといった、迅速な経営判断に役立つ」(平野氏)。