平成28年分の確定申告、つまり2017年に提出する「所得税の確定申告書」から、マイナンバー(個人番号)の導入がスタート! 大半のフリーランサーの元には、昨年暮れあたりに、取引先から「マイナンバーを提供してください」と記された書類が届いたはず。しかし、それが一体どういうことを意味するのか全く分からない……と不安に思っている人も少なくないのでは……?
そこで今回は、個人事業主&フリーランスの確定申告が、マイナンバー導入によってどう変わるのか、今さら人に聞けないギモンを解決! 答えてくれるのは、クラウド会計ソフトなどでおなじみ弥生のマーケティング部・菊池さんです。
平成28年分の確定申告から、個人が税務署に提出する確定申告書類にマイナンバーの記載欄が設けられました。同時に、その取引先企業が税務署に提出する支払調書には、報酬の支払い先である個人のマイナンバーを記載することが義務付けられます。
「個人事業主やフリーランスは、多くの場合、複数の企業等と取引をしていますよね。マイナンバーが導入されると、その全ての取引によって得た所得を、マイナンバーで簡単にひも付けできるようになる。これによって申告漏れを防ぎやすくなるのです。ただし、主に支払いを受ける側である個人事業主にとっては、マイナンバーが導入されたからといって、手続きに大きな変更点はありません。例年通り正しく申告を行っていれば、何も不安に思う必要はないのです(菊池さん)」
ここから先は、その上で「なぜ?」「分からない!」と感じるギモンについて答えていただきます!
ココが知りたい!Part1
取引先からマイナンバーを提供して欲しいといわれたけれど……?
Q1.取引先企業や事業者にマイナンバーを提供する理由は?
A1. 「報酬の支払い元である企業や事業者は、税務署に提出する支払調書に、支払い先個人のマイナンバーを記載する義務があります。これは法律で定められているため、取引先はあなたのマイナンバーを取得する必要があるのです」
Q2.マイナンバーの提供を拒否したい場合は?
A2. 多くのケースでは、取引先企業から届いた「マイナンバー提供のお願い」書類に、提供拒否を表明する確認書などが同封されているはず。拒否したい場合は、その書類に記名して送り返すか、書類がなければ拒否したい旨を書面やメール等で取引先に通知すればOK。
「実は現時点の法律において、個人事業主やフリーランスが、報酬を支払ってもらう取引先企業にマイナンバーを提供する義務はありません。しかし、取引先企業が税務署に提出する支払調書には、支払い先個人のマイナンバーを記載する義務があるのです。企業がそれを取得できなかった場合は、マイナンバー未記載の支払調書に加え、未記載の正当な理由を添えて税務署に提出する必要があります。『マイナンバー提供拒否の確認書』のほか、書面などでの通知がその証明になるというわけです」
Q3.マイナンバーを教えないと何かマズいことってある?
A3. 「現時点の法律では、個人事業主側にペナルティは課されません。実をいうと、マイナンバー提供拒否を通知する義務さえないのです。ただしQ2でもいったように、取引先企業が税務署にマイナンバー無記載で支払調書を提出するときは、その正当な理由を証明する書類を添付する必要があります」
つまり提供を拒否した場合は、取引先の余計な負担を増やしてしまうということ。本制度が今後もずっと継続していくとなると、今は法律上の問題がなくても、その心象はあまりよくないといえそう。
Q4.取引先とはいえ、マイナンバーを教えちゃって本当に大丈夫?
A4. 万一、マイナンバーの情報が取引先企業から漏洩したり、悪用されたりしてしまったら……? 企業・事業者側の悪意を持ったマイナンバーの情報漏洩には重い罰則が設けられていますが、「そんなに神経質になる必要はない」と菊池さんは断言。
「そもそも日本で使われているマイナンバーは、13ケタの番号の割り当てが完全にランダム。番号だけで個人を特定できる情報が得られるわけではないですし、国のしかるべき機関において、パスワードを用いなければ利用できない情報です。マイナンバーを取得した側の情報管理は徹底する必要がありますが、番号自体が流出したところで、個人に損害があるとは考えにくいです」
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