Mozart: Don Giovanni
Teodor Currentzis
鬼才指揮者クルレンツィス/ムジカ・エテルナによる、モーツァルト/ダ・ポンテシリーズの完結編だ。
第一弾「フィガロの結婚」(2014年)、第二弾「コジ・ファン・トゥッテ」(2014年)に続く第三弾。颯爽とかヴィヴットなどの形容を遙かに超えた超過激なモーツァルト。その劇薬性には、ダ・ポンテ作品の中でもとびきりデモニッシュな「ドン・ジョヴァンニ」がもっともふさわしい。
しゃれではないが過激な歌劇だ。演奏はピュアピリオドに、クレンティスの過激な解釈を加え、これまで聴いたことがないウルトラスピード。疾走というより爆走といったほうが正しい。音が音場内を走り回り、ひじょうにくっきりとした音のクマドリを作る。音もこの過激なパフォーマンスを活かす、解像度の高さとハイスピード性が耳の驚愕だ。2015年11月23日-12月7日、ロシア、ペルミにてセッション録音
FLAC:96kHz/24bit
Sony Classical、e-onkyo music
世界最高峰のピアニスト&指揮者のダニエル・バレンボイム氏が考案した新型ピアノを同氏が演奏したD。従来型のグランド・ピアノは左端で低音域と中音域の弦を交差させているが、新型は交差を避け、すべての弦を平行に張った。
従来構造と実際の音の違いは何か。音の透明度が格段に上がり、特に中高域において音の響きの滞空時間が長くなったことだ。低音部での平行化による低域特性の改善は当然だが、その好影響により中高域での粒立ちが細やかだ。いかにもスカルラッティらしいラブリーなコケティッシュさが、新ピアノの音調のクリヤーさ、音離れの速さにより、より感じられるようになった。
録音は、そんなピアノの新構造を活かした、これまた品質感が高い。録音は2015年10月、ベルリン、テルデックス・スタジオにて。
FLAC:96kHz/24bit
Deutsche Grammophon、e-onkyo music
たなかりか は関西のライブハウス・ホテルなどで活動しているジャズ・シンガー。2012年のJapanese Songbookの続編だ。
1曲目「黄昏のビギン」(作詞: 永 六輔 作曲:中村八大)。味わいが深い音調。たかなりかの太い声調を活かし、大粒な音の塊感を作っている。 共演のピアノ、アコースティックベース、ドラムスというシンプルなコンボも、音が太い。音調的にはハイレゾの情報量をしっかりと持ちながら、音の器量感を押しだす。5曲目「夢で逢えたら」 (作詞/作曲:大瀧詠一)。英語調の発音が心地良い。アルトな音域でのしっかりとして押し出し感が、この可愛い曲想に迫力を与えている。
WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bit
After Beat、e-onkyo music
タイトルの「KTR×GTR」は「KoTaRo × GuiTaR」のこと。アコースティックギターのスーパーソロアルバム、ソロはソロでもメロディ、ハーモニー、リズムの音楽の三要素をひとり、1丁でこなす多能なギター独奏だ。
2曲目、三菱電機カーナビのCM音楽、TOGETHERはハイリズムだが、ベースからパーカッションまでひとりでこなすのは本当に驚き。音はまさに眼前演奏の生々しさ。近接マイクで、直接音のすべてが鮮烈に捉えられている。音の立ち上がり/立ち下がりが極めて俊敏で、切れ味が抜群だ。87
FLAC:96kHz/24bit
Sony Music Labels Inc.、e-onkyo music
村治奏一とのデュエットの2台ギターと、ソロギターで奏でる日本の名歌集。透明感の高いジェントルな音色が、日本の叙情を高らかに歌う。
メロディを歌う佳織のギターは、音が太く、音色もカラフルで、音の到達力が強い。奏一のギターは細身で優しい。2つのギターの音色の違いがハイレゾで鮮明に再現される。
「花は咲く」は佳織の独奏。優しく、深い思いを込めた撥音が、ハイレゾでひじょうにクリヤーに伝わってくる。ハイレゾの表現力にてこの曲の情感がさらに深い部分まで到達したといえよう。映画「ディア・ハンター」テーマ曲の「カヴァティーナ」(スタンリー・マイヤーズ作曲)は深い感情と限りなき優しさを湛えた名演だ。
FLAC:96kHz/24bit
Decca、e-onkyo music
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