ドバイの展示会で
中東やアフリカ市場などを狙うメーカーのスマホを見た
モバイル関連の展示会は世界各国で開かれていますが、メジャーメーカーだけではなく、現地や周辺国のみをターゲットにした“知られざる”メーカーの出展も目立ちます。今回は毎年秋にアラブ首長国連邦のドバイで開催される「GITEX」で見かけた、中東やアフリカ向けのスマートフォンを見てみましょう。
GITEX2017は基本的にソリューション関連の企業の出展が多く、サムスンなど大手メーカーの出展はありません。しかし、中東や中東をベースに、アフリカ、インドなどの市場を狙う中小のメーカーが多数出展していました。
それらは日本では聞いたこともないような名前のメーカーがずらりです。たとえばZuriというメーカー。本社は香港にあり中東やアフリカ向けに自社ブランドでスマートフォンの展開を図っているとのことでした。
香港をベースに中東やアフリカを狙うZuriのスマホ
メタル筐体を採用したスマホを展示
Zuriのスマートフォンは約5機種を展示。価格はミッドレンジ以下が中心で、価格的には200ドル以下のものになります。たとえば「H56」は5.5型フルHD(1080x1920ピクセル)ディスプレーにリア1600万、フロント800万画素のカメラを搭載した同社の上位モデルです。SoCはMediaTekのMT6753(オクタコア、1.3GHz)、メモリー3GB、ストレージ32GBと悪くないスペックです。背面には指紋認証センサーも搭載。
なお、本体は金属ボディーですが、残念ながらゴリラガラスは不採用。このあたりはコストを優先しているとのこと。日本語ロケールも乗っていましたが、主なターゲットは中東を中心とした新興国だそうです。
Zuriブースには頻繁に中東各国やアフリカ系のバイヤーが訪れていました。100ドル程度の低価格モデルもラインナップにあり、新興国ではどこでも見られる製品になるかもしれません。デザインには特徴にやや欠けるものの、フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えるユーザーがまだまだ多い新興国では、価格が安くなくては消費者に選んでもらえません。Zuriのようなメーカーはほかにも出てくることでしょう。
新興国市場ではやはり100ドルという価格が重要!?
そんな価格帯でもベゼルレスの目を引くデザインも
つづいて紹介するのはIKU。こちらも新興国が主なターゲットです。製品の特長は3Gのみに対応したスマートフォンもまだまだ作っていること。最近ではLTEが世界各国に広がっていますが、少しでも安い端末を必要とする消費者が多いエリアでは、3Gスマートフォンの需要も高いと同社ブースの説明員は話をしていました。
IKUの展示機を見ると、モデル名が2種類記載されています。その下を見ると「3G&4G」とあるように、同一モデルで3G版と4G版の2つを展開しています。4G版は3G版より価格が高くなると思いきや、カメラ画質を押さえてコストを下げることで、両方100ドル台の値段に抑えています。やはり「そこそこのスペックに、リーズナブルな価格」が求められているということなのでしょう。
実際の製品を見ていくと、ベゼルレスのようなスタイリッシュデザインの「LEO(i55)」がありました。背面はカーボン調の表面仕上げで高級感もあります。
SoCはメーカー非公開でクアッドコアの1.3GHz、メモリー1GB、ストレージ16GB、5.5型HD(1280×720ドット)ディスプレー、リア1300万、フロント500万画素カメラとミッドローに位置する製品です。そして通信方式は3Gのみで4Gは非対応。4Gを搭載すれば先進国でも販売できそうですが、100ドル前後の低価格をキープすることがなにより重要なようです。他社の低価格モデルと比べても、このデザインの良さは際立っています。
B2B市場向けではWindowsもまだまだ根強い人気
さて、各種ソリューションの展示コーナーには、エンタープライズ向け(B2B向け)のスマートフォンを出しているところも多くありました。バーコードリーダーを搭載したり、防水・防塵に対応するなど、ファーストフード店や運送業者などで大量に利用されているモデルです。そういえば運送業者の人たちって、メーカー不明の端末をよく使っていますよね。
M3 Mobileブースにあった「SM10」はAndroidとWindows 10 MobileのデュアルOS仕様。今でもWindows Mobile Embeddedなどでアプリを作っている企業にとっては、AndroidよりもWindows 10 Mobile端末を求める声が大きいとのこと。そこでデュアルOS対応にしたそうです。
ということは個人で買って、両OSを自由にブートして切り替え利用できる……と思ったら、残念ながら「OSは出荷時に片方に固定」(説明員)とのことでした。