変わらぬインターフェイス、という体験
確かに新しいインターフェイスというのは魅力的です。個人的には、新しいインターフェイスの背後に流れる思想や、新しい操作を覚える楽しさがあります。ただ、インターフェイスへの魅力は、必ずしも道具やその目的を果たすことと無関係であることも少なくありません。
そういう意味で、ファミコンのスーパーマリオ的な体験、すなわち、ピーチ姫を助ける以上に、コインをたくさん取ったり、三角飛びを成功させたりするほうが楽しくなってくる経験もまた、貴重だ、と思わされるわけですが。
「変わらないインターフェイス」という思想は、和田氏がSunのワークステーションを買い換えるたびにキーボードが変わって、思うようにタッチタイピングが続けられないという日々の悩みから生まれています。筆者もちょうど買い換えるMacBook Proで、今までの慣れた深さがあるタッチから、まったく深さのない浅いタッチへと、コンバートが必要になっています。
確かに「弘法筆を選ばず」ということわざがあるくらいで、道具に関係なく高速で安定したタイピングを実現できる方が良いかもしれません。しかしミスタイプを頻発する新しいキーボードへの適応期間の仕事の効率低下は、やはり問題視すべきです。
HHKBを繋ぐと、普段のタイピングの環境が手に入る。この安心感が、HHKBを支持し続ける理由なのかな、と思っています。ただし、まだUSB-Cから通常のUSBポートに変換するコネクタを用意してないので、USB版は新マシンに繋ぐことができないのですが……。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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