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API経由でBoxをカスタマイズ、自社開発アプリに組み込める「Box Platform」

「Box」新プラットフォーム、データ利活用への発想転換を促す

2016年11月16日 07時00分更新

文● 谷崎朋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 企業向けクラウド型コンテンツ管理サービスを提供するボックス(Box)は11月14日、2014年に米国で提供開始した開発者向け向けツール「Box Platform」の日本公開に先がけて、記者説明会を開催した。

 Boxは、直感的な操作性に加えて、ユーザー/グループ単位によるアクセス制御やポリシー徹底、閲覧から編集までを含むデータのクラウド上での一元管理、暗号化などエンタープライズレベルのセキュリティ、他社アプリケーションとのAPI連携を始めとする柔軟性や拡張性などから、特に大規模なユーザーを抱える企業に人気が高い。グローバルではIBMやGEなど約6万6000社が導入、日本でも約2年半前に日本語化が完了して以降、資生堂やLIXIL、GREE、DeNA、中外製薬、早稲田大学など、1400社を超える企業が採用している。

 「特に日本企業は、セキュリティ重視の観点からBoxを導入する傾向がある。そのためか、Boxを使っていない部門で情報漏洩が発生することを懸念し、最初から全社導入を決める」。ボックスジャパン代表取締役社長の古市克典氏は、こう説明する。

ボックスジャパン 代表取締役社長の古市克典氏

 実際、Boxでは当初から「データ保護」と「セキュリティ」の機能を重要視し、拡充を図ってきた。前述の各種セキュリティ関連機能のほか、たとえばデータの暗号鍵をBoxとユーザー企業の双方で管理し、双方が同意しなければデータを開示できない「マネージドエンクリプション」、マネージドエンクリプションをより簡単に利用できるようにした「Box KeySafe」、さらにはデータ保存先データセンター(アメリカ、アイルランド、ドイツ、日本)を指定できる「Box Zone」などが挙げられる。

 ただし、Boxのメリットはそればかりではない。古市氏は「パブリッククラウドのメリットを最大限に享受するためにも、データの利活用や生産性向上の視点をもっと取り入れて、どんどん使い倒してほしい」と言う。そのための仕掛けとして提供されるのが「Box Platform」だ。

 Box Platformは、Box自体をAPI連携で提供するプラットフォームだ。すでに開発者コミュニティは8万人を超え、月70億以上のAPIコールを生成。自社向けのコンテンツ共有プラットフォームとして取り入れるだけでなく、たとえば資産管理や個人金融資産の運用コンサルティング会社Raymond Jamesが顧客向けポータル「Investor Access」で実装するなど、B2Cでの導入事例も次々誕生している。

 人気を受けて、今年の同社カンファレンス「BoxWorks 2016」では、インタラクティブビューワでのHD映像や360度の画像/映像、VRファイルのサポート、アノテーション(注釈)と電子透かし機能など、「データを積極的に活用する」ための新機能が発表された。

 「企業にパブリッククラウドは安心して活用できるものだと受け入れてもらうには、まずは主だった悩みをすべて取り除くことが重要だ。その一番の方法は、Box自体に機能を実装、充実させていくことだ」。たとえば、Boxには「IPアドレス制限機能」があり、これは日本のユーザーからの要望を受けて実装されたものだと古市氏は明かす。

 「アメリカでは生産性向上に求められる利便性や使い勝手を重視するユーザー企業が多く、それを制限する同機能の提案に対して本社から反論の声が上がった。だが、セキュリティを重視する日本ではこうした機能が必要と説得、要望あれば実装できる選択肢として提供できるようになった」(古市氏)

 また、日本の商習慣を理解し特殊な要望を吸収できる企業との提携で日本企業の複雑なニーズに対応する地盤構築にも取り組んでいる。たとえばシヤチハタでは、Box上でWebブラウザーから電子文書に捺印できる「パソコン決済 Cloud」を提供している。こうした開発パートナー企業は、現在64社に上る。

Boxの開発パートナー企業一覧(日本国内)。11月現在で64社

 だが、本機能に載せたり開発パートナー企業のソリューションで回収したりするにはあまりにもピンポイントすぎる要望も中には存在する。そうした事情や完全カスタマイズのニーズに応えるのが、Box Platformだ。

 日本におけるBox Platformの提供開始日は発表されていないが、近日を予定していると、古市氏は約束した。

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