クラウド型コンテンツ共有サービス「Box」を提供するボックスジャパンは7月3日、記者向けのラウンドテーブルを開催した。個人向けサービスとしての印象が強いBoxだが、日本でもトヨタを始めとする各社で、情報共有プラットフォームとしての導入が進んでいるという。
豊富なセキュリティ機能で企業利用をサポート
クラウド型コンテンツ共有サービスのBoxは、社内外でセキュアな情報共有を行うだけでなく、API経由の既存システムとの連携、アクセスログの管理、高度なセキュリティ機能などを実装したプラットフォームとして、P&Gやパナソニックなど大手企業含む22万5000社以上で導入され、2500万人を超えるユーザーが利用している。
たとえば米国の大手電機メーカー、GE(ゼネラル・エレクトリック)では、それまで利用してきた独自開発の情報および文書管理ソリューション「GE Files」をBoxに置き換え、外部パートナーとの情報共有やセキュリティ強化を実現している。
また、米国トヨタでも広範に導入されている。米Boxのホイットニー・ブック氏は、「たとえば販売部門は、膨大な紙資料を1台のiPadで持ち歩けるようになり、しかも動画や3Dイメージを使ったプレゼンテーションが可能になった。ファイナンス部門でも、新車購入ローンの申込書を集約し、迅速な提案へとつなげることに成功した」と説明する。米国での導入成功を受けて、日本のトヨタでも導入が検討されており、詳細は近日プレスリリース予定だと同氏は明かした。
大手企業によるBoxの採用、または乗り換えが加速している理由として、ブック氏は2つのポイントを挙げた。1つは、モバイルデバイスの普及により、場所を問わず柔軟な方法で業務情報にアクセスする「オープンシェアリング」時代が到来したこと。もう1つは、Boxでは、IT部門が統制できる、セキュアな情報共有環境を構築できることだ。
「Boxは、単なるファイル転送サービスではない。管理コンソールからのログ管理、ユーザーやファイル管理、MDM連携など、企業が求める管理機能を提供する」(ブック氏)
特に、企業向けサービスとして同社が注力しているのが、セキュリティ機能の充実だ。たとえば、ユーザーやグループ単位によるアクセス制御、Active Directory連携によるポリシー強化、アクセス可能なデバイスの管理、ファイルの暗号化、ファイル共有の状況、承認されないフォルダ共有者の追加に対するアラート通知など、さまざまな機能が提供される。
「たとえば、同一のユーザーが24時間以内に米国と日本でログインしてきた場合、『異常なアクセス』と判断してアラートを上げることができる。デバイスに保存したファイルをオフライン時に利用できるかどうかなど、詳細なパーミッション設定も可能だ」(ブック氏)
同社では、引き続き企業向け機能の追加や強化を行っていく予定で、年内にもいくつか新機能を実装する。その1つの「マネージドエンクリプション」では、コンテンツを暗号化するための暗号鍵自体を企業側で管理することができる。たとえば米国政府などの要請で情報開示を求められても、企業が暗号鍵を提供しない限り、Box側ではコンテンツの内容を開示できないことを保証するという。
「政府からの情報開示要請は非常にまれなケース。しかし、万が一の事態に対する企業の不安は、Boxとして確実に払拭したい。特に、セキュリティ要件の厳しい企業にとっては有用な機能になるはずだ」(ブック氏)