このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 10月10日~10月30日分

デジタル変革の危機感が薄い日本企業、IT管理者スキル不足問題、ほか

2016年11月01日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、調査会社などが先週1週間に発表したIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてざっくりお伝えしています。

■[ユーザー動向]製造業はIoT、金融業はコグニティブ利用が加速(IDC Japan、10/17)
・IoTを導入済みの製造業、1000名以上規模で21.4%、今後導入予定が32.9%
・製造業ではそれ未満の規模(中堅中小企業)でもIoT活用の広がりが
・コグニティブ(認知)システムは特に金融業で活用が進む

 国内ユーザー企業における先端IT技術活用の実態調査。産業分野ごとに技術活用の実態は異なり、たとえば小売業や公共/教育/医療分野では必ずしもテクノロジー活用が最優先課題にはなっていないとの指摘も。

国内企業 産業分野別IoT導入状況(従業員規模1000人以上)

■[ユーザー動向]国内企業におけるシステム運用管理実態(IDC Japan、10/20)
・運用ミスによる障害/トラブル、「毎月数回程度」以上発生する企業が32.0%
・IaaSの課題は「サービスレベルが不安定」が最多の40.4%
・IaaSとPaaSの両方で「利用前の試算コストよりも高い」が上位の課題に

 国内309社から有効回答を得たアンケート調査。運用管理全般における課題としては「運用管理担当者のスキル不足」(32.0%)、「自動化ができていない」(30.7%)、「一元管理ができていない」(30.2%)が回答のトップ3で、上述した障害/トラブル頻発の原因にもなっている。もっとも、“スキル不足”を指弾されている運用管理担当者からの反論も聞いてみたいところ。

国内企業 システム運営上のミスで障害/トラブルが発生する頻度

■[ユーザー動向]エンタープライズストレージの外部サービス利用へのシフト(IDC Japan、10/27)
・運用管理コスト、拡張性、導入/構築の迅速化から「サービス利用型」への移行が進む
・保有ストレージ総容量に占める外部サービスの割合、パブリッククラウド利用者では「50%以上」が13.5%
・同様に、プライベートクラウド利用者では「50%以上」が22.7%

 保有ストレージ総容量から見た外部サービス利用へのシフトを調査。ただしオンプレミス導入であっても、現在はハイパーコンバージドインフラなどによって柔軟な拡張性を持つストレージ構築が可能であり、そこで柔軟なファイナンスオプション(リースや従量課金モデルなど)も利用できるならば、同様のメリットは得られるだろう。

保存ストレージ総容量に占める外部サービスの割合

■[ユーザー動向]国内企業の情報セキュリティ成熟度(IDC Japan、10/19)
・63.2%が5段階のうちのステージ2(限定的導入)やステージ3(標準基盤化)にとどまる
・米国と比較すると、ITリソース全体への対策を求めるステージ4以上の取り組みに遅れ
・成熟度の低い理由として「セキュリティ部門幹部のリーダーシップの弱さ」を指摘

 ユーザー企業における情報セキュリティの取り組みを、ステージ1(個人依存)、ステージ2(限定的導入)、ステージ3(標準基盤化)、ステージ4(定量的管理)、ステージ5(継続的革新)の5段階で評価。成熟度が低いため、自社のITリソース全体を包含するセキュリティ対策に至っていないと分析。

国内企業 情報セキュリティの成熟度ステージ分布

■[ユーザー動向]デジタルビジネスに関する世界の企業意識調査(デル/EMCジャパン、10/25)
・グローバル調査では78%の企業が「デジタル新興企業を脅威に感じている」
・デジタル技術/IoEの進展で、過去3年間に「業界の劇的な変化を経験した」企業は52%
・「今後3年で自分の業界がどのように変化するのか予想できない」企業は48%

 16カ国/12業種の大規模/中堅企業のビジネスリーダー4000人を対象に調査。なお、国ごとのデジタル成熟度調査では、上位3カ国はインド、ブラジル、メキシコ。一方で、日本は調査17カ国中最下位となった。他国と比較して日本の企業は業界や市場の大きな変化に対する危機感が薄く、変革へのプレッシャーも弱いことが数字として明らかで、将来的な国際競争力に大きな不安を残す結果。

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード