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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第155回

QUEENブライアン・メイのギターは常識破りの連続だった

2016年10月15日 12時00分更新

文● 四本淑三

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90万円ならラッキーといえる作り込み

―― しかし、リアのピックアップとブリッジが近いね。ショートスケールで24フレットもあるから、ピックアップのレイアウトに困っちゃったのかな。

友人 ブリッジに近すぎて、リアだけではろくな音はしないんですよ、弦振動のエネルギーが一番少ないところだから。それで常にセンターを同時に鳴らして、ハムバッカーとして使うしかない。でも、それで結果的にほかのギターにはない、いい音が出ちゃってる。強運の人ではありますよね。

3つのピックアップはBurnsのトライソニックで、それぞれオン/オフと位相を切り替えるスイッチがある。ピックアップは通常は並列接続だが直列接続なのが特徴。センターのみ磁極が逆のため、リア+センター、センター+フロントの組み合わせで、ハムバッキング効果を生む。また位相を反転した組み合わせでは極端なローカットが効き、ハーモニクス成分の多い特徴的なフェイズアウトサウンドが生まれる

―― この時代でローラーサドルは画期的だね。クルクル回ってフリクションをなくしてチューニングの狂いを抑えるっていう。少年ブライアンすごい。でもローラーはブリッジに切られた溝に乗っているだけだし、弦が切れたら飛んでくじゃん。やだなあ。

友人 やでしょ。サドルの調整もローラーを外して移動したりとか、すごくない? あとブリッジの高さも、シムを入れたり抜いたりで決めていく。でも、伊集院さんはそこまで同じにしたかったんでしょうね。あと不思議なのは、ブリッジの足がピックガードの上に乗ってるんですよ。普通ボディーの上に乗せませんか。

―― じゃなに、これピックガードの上に浮いてるの?

友人 下にネジで止まってるんですけど、その間にピックガードがかんでる。だからピックガードを外そうとすると、ブリッジも一緒に外さなければならない。それでブライアン・メイは何をしたかというと、ピックガードの下の一部を切って、ブリッジを外さずピックガードを外せるようにしたんです。ほら、よく見ると下に切れ目入ってるじゃん。

―― あー、両脇に微妙な線が。こういう現物合わせで本人がやったようなところまで再現しているのね。

友人 そうなんですよ、ほぼ再現。アームの曲がり方も同じだと思いますね。オリジナルを形どったものをグレッグ・フライヤーが持っていて、それに合わせて作っているので。細かいところで言えば、あちこちネジも統一されていないじゃないですか。多分、そこら辺にあったものを使ったんでしょうけど、それも再現している。そこがすごいんですよ。

―― これはすごいな。トレモロやブリッジみたいな、ワンオフの変態パーツも全部再現して、90万で買えてラッキーくらいの感じじゃない。

友人 その値段は秘密ですけどね、家族には。

―― えっ。

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