くっきりとしたメリハリの効いたサウンド
それでも音色は自然で感触も柔らか
今度は音楽再生を試してみよう。試聴は基本的にBluetooth接続のワイヤレス再生で行なっている。
MDR-1000XのBluetooth機能は、ソニー独自の高音質コーデックである「LDAC」に対応しており、ウォークマンなどと組み合わせればハイレゾ(96kHz/24bit)品質のワイヤレス再生が可能だ。
今回のテストでは、標準コーデックであるSBCを使った再生で試しているが、Bluetoothヘッドフォンとしてはなかなかの高音質。圧縮伝送による音質の劣化などはほとんど感じない。
クラシックやジャズを聴いても、アコースティック楽器の音色が自然な感触で再現される。感触はスムーズで優しいのだが、低音はややタイトと感じるくらい引き締まった音で、リズムもよく弾む。芯の通った音の出方と音の粒立ちの良さで、不自然な派手さのないメリハリの効いたサウンドを楽しめる。
使用ユニットは、専用に設計された40mmHDドライバーユニットとなる。人気モデルの「MDR-1A」でも採用されているアルミニウムコートLCP振動板を使用し、超高域再生能力も40kHzまで対応。ハイレゾ対応の音質基準をクリアしている。
デジタルアンプ「S-Master HX」も搭載しており、CD音源や圧縮音源を96kHz/24bit相当にアップスケーリングする「DSEE HX」も備える。DSEE HXはオン/オフは操作できず、Bluetooth接続時のみ有効となる。
女性ボーカルを聴いても、声がしっとりとして聴き心地がよく、声の響きや吐息のような微小な音もきちんと再現できている。
ノイズキャンセルのオン/オフによる音質差を聴き比べてみたが、オンの方が音はクリアで解像感の高い再現になる。オフだと多少音がふくよかになり、よりソフトな感触になる。好みの差はあるが、音質的な善し悪しという意味ではほとんど差はない。周囲の環境に合わせて好みで使い分けるといいだろう。
最後は有線接続も試してみた。電源オフの完全パッシブ状態で聴くと、音は全体にナチュラルになると感じるが、低音がやや弛んだ傾向になるなど、聴きやすい音ではあるがやや甘い感じもある。
ノイズキャンセルをオンにすると、全体に音がカチッとした感触になる。個人的な好みとしては電源オンで聴いた方がくっきりとしたクリアーさがあって好ましい。有線接続はあくまでも電池切れ時などの非常用と考えていいだろう。
次回はハイブリッドドライバーのカナル型イヤフォンを試聴!
MDR-1000Xは、利便性の高いノイズキャンセル機能を備え、Bluetooth接続での音質も良好と、なかなかの実力を持ったモデルだと感じた。
めでたくiPhone 7ユーザーとなった筆者もワイヤレスヘッドフォンの有力な購入候補としている。
ワイヤレスヘッドフォンは屋外でも極めて使いやすいが、実は屋内で使うのも便利。たとえば、深夜のテレビ視聴などで使っていても、ヘッドフォンを装着したまま飲み物を取りに行ったり、トイレへ行けるのは極めて快適。
シアタースピーカーなど、Bluetooth接続が可能なモデルも多いので、屋内での快適なワイヤレス再生も楽しめるのだ。
さて、次回はカナル型イヤフォンの「XBA-N3」を紹介。BA型とダイナミック型のハイブリッドとなるモデル。iPhone 7であっても、高音質派はポタアンをLightning接続とし、高性能イヤフォンと組み合わせるスタイルで使うだろう。そんな人こそ注目のモデルだ。
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