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最新パーツ性能チェック 第198回

「Radeon RX 470/RX 460」はミドルクラスGPUの選択肢を変えられるか?

2016年08月14日 12時00分更新

文● 加藤 勝明 編集●北村/ASCII.jp

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帯域はx8接続でも十分なRX 460

 RX 470のSPが2048基なのに対し、RX 460のSP数は896基、メモリーバスも256bit→128bit。コア自体は同じPolarisアーキテクチャーではあるが、Polaris 11は10を大胆にスケールダウンしたものだ。さらにPCI-Expressのレーン数も上位GPUが16レーン(x16)なのに対し、RX 460は8レーン(x8)に減っている。

 一番の注目はTDP(AMDの場合、正しくは“Typical Board Power”、いわゆる標準的な負荷における消費電力となる)は75W“以上”となっている点。つまりOCをしないリファレンス仕様に近い製品なら、外部電源なしで動作できるポテンシャルを持っているということ。

 補助電源なしで動作可能なGPUといえば、直近ではGeForce GTX 950や日本市場専用のRadeon R7 360Eがある。RX 460はこれに追加された形だが、HDMI2.0bやDisplayPort1.4、HDR出力といった新世代ディスプレー対応が盛り込まれているぶん、RX 460の方がよりベターな選択肢であるといえるだろう。

複雑な形状のクーラーが多い中、このクーラーはシンプルで落ち着いている。搭載ファンは低温時に停止する準ファンレス、かつ着脱可能だ

ここではカードエッジ部の電極に注目しよう。普通のビデオカードの半分程度に減らされている。電気的にはPCI Exress x8接続だが、装着にはx16スロットが必要だ。カードの後部にあるNITROのロゴは通電時に青く発光する

RX 460の映像出力の標準的構成はDVI+HDMI2.0b+DisplayPort1.4という構成。Sapphire製のRX 460カードもこれに準じた設計になっている

横方向に外部電源のケーブルが出る設計なので、上端がシャーシのフレームに干渉するようなMini-ITXケースにも入れやすい。ちなみに同社の“NITRO”が付かない(=ほぼリファレンス仕様の)RX 460カードには外部電源は不要だ

RX 460はノートPCへの搭載も視野に入った製品ということがAMDの資料に示されていた。GTX 960Mに比べて1.2倍の性能ということだが、NVIDIAがPascal世代のモバイルGPUを投入したときに、このアドバンテージが維持できるかが見モノだ

ベンチマーク環境は?

 それでは今回のベンチマーク環境を紹介しよう。基本的な構成は従来と同じだが、OSはWindows 10のAnniversary Update適用後、RadeonのドライバーはRX 470/460を公式サポートしたRadeon Software 16.8.1で統一している。

 また、今回は比較対象用として、RX 480のリファレンスカード(グラフではRef. RX 480表記)、ASUS製のR9 380XカードにPalit製のGTX 950カードを準備した。さらに、今回運良くMSI製のOC版RX 480カード(MSI RX 480表記)も手に入ったためベンチマークに加えてみた。RX 400シリーズは現行ゲームでどの程度のパフォーマンスなのか検証してみたい。

テスト環境
CPU Intel「Core i7-6700K」(4GHz、最大4.2GHz)
マザーボード ASUS「Z170-A」(Intel Z170)
メモリー Crucial「BLS2K8G4D240FSA」(DDR4-2400、8GB×2)
ビデオカード MSI「RX 470 GAMING X 8G」(Radeon RX 470)
Sapphire「SAPPHIRE NITRO RX 460 4GD5」(Radeon RX 460)
MSI「RX 480 GAMING X 8G」(Radeon RX 480)
Radeon RX 480リファレンスカード
ASUS「STRIX-R9380X-OC4G-GAMING」(Radeon R9 380X)
Palit「GeForce GTX 950 StormX Dual」(GeForce GTX 950)
ストレージ Intel「SSDPEDMW400G4X1」(NVMe SSD、400GB)
電源ユニット Corsair「RM650」(650W、80PLUS Gold)
OS Windows 10 Pro 64bit DSP版

写真でみるMSI「RX480 GAMING X 8G」

 また、ベンチマークへ行く前に少しだけ今回入手したMSI製OC版RX 480カード「RX 480 GAMING X 8G」を紹介しよう。

「GPU-Z」によるGPU情報。GPU-Z上ではブーストクロックのみが表示されているが、リファレンスの1206MHzに対し、本製品では1303MHzと高めの設定になっている

Twin Frozr VIクーラーのおかげで表面からは前掲のRX 470カードと見分けがつけにくいが、裏を見ればバックプレートがついているぶん、RX 480の方が耐久性に優れていることが一目瞭然

RX 470と同様、HDMI2.0bが2系統+DisplayPort1.4が2系統という構成。同社製のビデオカードは今後これが主力になるのだろうか。Viveユーザとしてはこれはおおいに歓迎したい

リファレンスでは6ピン×1だった外部電源は、OC版なので8ピン×1に強化されている

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