最後にPolaris世代のGPUが得意とするAsync Shaderを多用したゲームとしてVulkan版「DOOM」を試す。画質は“ウルトラ”をベースに異方性フィルタリングx16を追加。マップ「ファウンドリー」の一定のコースを移動する際のフレームレートを「PresentMon」を使用して計測した。
RoTTRの高解像度設定を除き、ほぼGTX 950の下に甘んじていたRX 460がGTX 950を軽やかに抜き去った点にまず注目。
RX 480はVulkan版DOOMでGTX 1060を破ったように、RX 460もVulkanやAsync Computeをきっちり活かしたプログラミングを行なえば、DirectX11のゲームよりも性能を引き出せることが明らかとなった。
ただ今後DOOMクラスのチューニングをしてくるゲームが何本出てくるかが心配なところではある。直近だと「バトルフィールド1」のパフォーマンスがどこまで出るのか、今後も注目していきたいところだ。
コスパ良好なRX 460、存在意義が微妙なRX 470
以上駆け足でRX 470およびRX 460の性能を検証してみた。「2枚でGTX 1080を超える」というセンセーショナルな売り込みをしたRX 480ほどのインパクトはないものの、ミドルクラスGPUとしては順当な性能に落ち着いたといえる。
特にRX 460はまだNVIDIAがまだPascalを導入できていないエントリーゲーマー向けビデオカード市場に良い刺激を与えると筆者は考える。欲をいえばもう少し安いとGTX 950に対し圧倒的なアドバンテージができるのだが、昨今の自作PCの縮退を考えると、そう簡単にはいかないのだろう……。
一方RX 470については、正直どう評価すべきか困るGPUだ。描画性能やワットパフォーマンスの面ではリファレンス版RX 480に敵わないどころか、今回試したOC版RX 470の方が実売価格が数千円高く、下位GPUの高付加価値モデルが上位GPUより高いという紛らわしい状況を生み出している。
部材ひとつ、クーラーの設計ひとつについても高品質というのは分かるが、ユーザーを混乱させるような値付けは勘弁してほしいところだ。むしろ筆者はこの価格・この性能でRX 470を出す意味はあるのか? と問いたい。
決して悪い製品ではないがもう少しR9 380X寄りでワットパフォーマンスを上げ、価格を2万円台中盤に抑えた方が価格と性能のバランスが取れたのではなかろうか?
RX 470と460の登場により、AMDのミドルクラスGPU市場の刈り取り体制は整った。今後いかにVulkanやDirectX12、そしてAsync Shaderをフル活用したゲームを増やすかがRadeonが今後生き残る上でのカギとなるだろう。
AMDが次世代ハイエンド“Vega”でGTX 1080に対抗できるのか? NVIDIAはGTX 1060 3GB版やGTX 1050でミドルクラスの主導権を回復できるのか? 今後の展開に注目していきたい。
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