お気に入りの軍用腕時計
もうずいぶん前になりますが、携帯電話が普及し始めて周りのみんなが持つようになったころ、編集部の同僚が、ケータイを持つようになってから腕時計をしなくなったという話をしていました。ケータイの画面にいつでも表示されてるから、いらないですよね、と。
言われてみればそのとおり。ケータイ以外にも、街のあちこちに時計があるし、パソコンや音楽プレーヤー、レコーダー、電子レンジ、炊飯器などなど、時計がついた機器や家電品がたくさん存在します。
なるほどと思ったワタシは、それ以来腕時計をしなくなりました。
でも、だから腕時計を買わないかといったら、それはまた別の話。しかも、それこそ腕時計なんて1個あれば十分なのに、ついつい見た目にひかれて、前のが壊れたわけでもないのに買ってしまったり……。
いまでもときどき買ってしまうわけですが、これまで買った時計の中でも割と気に入っているのは、25年ぐらい前に買った米軍の軍用腕時計『STOCKER & YALE SandY 490』です。
ミルスペックMIL-W-46374E準拠の質実剛健モデル
またか! と思われるでしょうが、これもいつものように米軍の払い下げ品。新品の状態で払い下げられたらしく、紙でできた簡素なパッケージに入っていたのですが、残念ながらパッケージは紛失してしまったみたいです。カビて捨てちゃったのかもしれません。
購入当時は大量に出回っていたモデルで、レア感もなく普通に使っていたのですが、いつの間にか姿を見ることが少なくなりました。いまとなってはパッケージもちゃんと保存しておけばよかったかなーとちょっと後悔。時計を持たなくなるまでの数年間、毎日のように使っていたので盤面も傷だらけです。
軍では時間を24時間表記で示すため、文字盤にも24時間の表記があります。ダイバーズウォッチなどでは周囲のリングが回転できるようになっていますが、そういった機能はなく、たんなる枠です。右下にいつかどこかでぶつけた傷が……。
ベルトはナイロン製。安っぽいですが25年経ったいまでも切れることもなく使えるので、丈夫さはピカイチです。
米軍の兵士が使用する腕時計には、軍が支給する官給品と、G-SHOCKなど自分で購入する市販品があります。STOCKER & YALE SandY 490は官給品で、1991年に採用されたモデル。disposal watchー使い捨て時計と呼ばれる物のひとつで、手巻きの機械式です。
米軍に納入されるすべての物資は米国国防総省が規定するMilitary Specificationー通称ミルスペックで仕様が決められています。対象物は戦闘機や戦車、武器弾薬、軍服はもちろん、パソコンやカメラなどの精密機器、下着やシェーバーのような日用品、家具、塗料など多岐に渡っていて、時計もそのひとつ。腕時計の仕様書はMIL-W-46374というもので、ケースの素材や対振性、耐水性、精度といった性能面のほか、サイズや盤面のデザインなども決められています。
最初のMIL-W-46374が規定されたのはベトナム戦争の最中の1964年10月。壊れたときに修理するより捨てて新しい物を支給するという使い捨て時計も、このときに仕様が決められました。
MIL-W-46374はAからGまで7回の改訂を受け、最新のMIL-W-46374Gの策定は1999年11月。『STOCKER & YALE SandY 490』は1989年5月に策定されたMIL-W-46374Eに準拠しています。Dからフォントが変更されたりしましたが、最大の特徴はトリチウムバイアルと呼ばれる技術の採用でした。

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