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業界人の《ことば》から 第201回

今後のパナソニックはテレビでチャレンジしない

2016年06月21日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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高級路線でテレビの価値を提案

 「パナソニックは顧客価値提案が反映できるマーケットに絞って事業を展開していく」と本間社長は語る。

 その象徴的存在が昨年秋に欧州市場向けに投入した有機ELテレビの「CZ950」である。

IFA 2015で発表した「CZ950」

 このテレビは、LG電子からパネルを調達して製品化したものだ。パナソニックでは2013年度時点で有機ELパネルの量産を行なわないことを明確にし、外部からの調達で製品化する方針を打ち出していた。

 「有機ELパネルの調達先とは、2011年度からパートナーシップを組んで画質を作り込み、製品に仕上げてきた経緯がある。かつてパナソニックが有機ELの開発を自ら進めてきた経験と、プラズマディスプレーで得た自発光の輝度制御技術などを活用することで、有機ELテレビにおいて独自の回路開発、独自のソフトウェア開発が可能になり、パナソニックらしいテレビを作ることに成功した。画づくり、テレビづくりにおいて我々がやりたいことを十分に提案できると考え、欧州で有機ELテレビの販売をスタートした」とする。

 プラズマテレビからの撤退以降、パナソニックにはフラッグシップといえる製品がなかった。

 本間社長は「ようやくそうした製品を、自分たちで作れるところまできた」と胸を張る。

 CZ950に続いて、世界初のULTRA HD PREMIUM対応液晶テレビ「DX900」を投入。さらに日本地域限定モデルとして、テクニクスのノウハウを展開し、ハイレゾサウンドを実現した「DX850」を投入。「プレミアム高級テレビの連打によって、市場プレゼンスを高め、収益力強化を図っていく」と、今後の事業展開にも自信をみせる。

 一方で本間社長は「テレビを娯楽の中心としている国は決して少なくない。パナソニックが提案できる余地は多々ある」としながら「いま、テレビで価値を提案できるメーカーは、サムスン、LG電子、ソニー、そしてパナソニックの4社だけ。パナソニックはなんとか4つのブランドのなかに滑り込むことができた」とする。

 「テレビ事業の方向性ははっきりしてきた」と本間社長。パナソニックはテレビ事業を価値提案のビジネスへと位置づけて、事業を継続していくことになる。

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