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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第153回

東京まで2時間が名曲生んだ、異質なバンドに必要な距離

2016年06月25日 12時00分更新

文● 四本淑三

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たまたまそこで育ってやっているだけ

―― でも、ライブのたびに東京までの移動、面倒じゃありません?

くっちー こちらからは行きやすいです。終電が早いので車で来ているんですけど、高速を使えば2時間くらいだし。

kawauchibanri 適度な距離感だよね。

―― 今度のアルバムにも「関東平野がここからぶった切られているのを毎日感じている~組曲」という曲がありますが、その距離感に特別な感情があったりしますか?

くっちー あるでしょ?

kawauchibanri うーん、あるかなあ。

くっちー あるって言ってたじゃん。最初の頃は地元であまり手応えが無くて、だから東京に通ってライブをしていて。その距離感というのは、よく言っていたよね、いろいろ考えたり。

kawauchibanri 今はもうなくなっちゃったんだよね。

「うーん、あるかなあ」「あるって言ってたじゃん」

―― あの、なんか、すっごく言いたくなさそうですね。

kawauchibanri 割と自分はあったんですよ、そういう都市との距離感というのは。東京へ簡単に行けちゃう距離だし、地元の人も「自分は田舎者じゃない」みたいな、そういうものを持っているし。もう過ぎ去っていってしまったものなので、いまは説明するのも難しいんですが、ありがちなものだったと思うんです。自分は違うんだみたいな。そんななんの根拠もないような……なんだろうなあ。

―― じゃあ、レペゼン足利みたいな感じは?

kawauchibanri レペゼンしたかったですね。でも、たまたま自分はそこで育って、たまたまこういうことをやっているだけで、そのどこかになにも必然性はないというか。いまでもハードコアとかヒップホップはそうだと思うんですけど、ローカルというものに対して強い思いがあって、そこに強い意味を見出している。自分らは、そういうものに憧れつつも、残念ながら熱い思いが地元にないし、かと言って覚めた目で見ることにも飽きてしまって。すごくフラットな気持ちなんですよね、現在は。

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