実績と未来を見せた「AWS Summit 2016」 第3回
ゲオホールディングス、freeeも登壇した「AWS Summit Tokyo 2016」基調講演
「2週間でできた」日本電産のIoT基盤など、AWS事例多数紹介
2016年06月03日 07時00分更新
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)の年次イベント「AWS Summit Tokyo 2016」2日目の基調講演には、AWSJ社長の長崎忠雄氏のほか、AWSのユーザー企業としてゲオホールディングス、日本電産、freeeの各社がゲストスピーカーとして登壇し、AWSクラウドの活用によってそれぞれの抱えるIT課題をどのように解決したのかを語った。
ゲオHD:「経営の変革を先導するIT部門」を目指し、AWS全面移行に取り組む
ゲオホールディングスでは、衣料品/服飾や雑貨などの買取/リユース販売を行う「セカンドストリート」「ジャンブルストア」の全国展開(リユース事業)と、DVD/CD/ゲームソフト/書籍のレンタル/買取/販売を行う「ゲオショップ」の全国展開(メディア事業)という2つを主力事業としている。
同社では、昨年12月には5つの経営基本戦略を定め、経営変革を進めていく方針を明確にした。5つの基本戦略とは、「経営ポートフォリオ転換」「メディア事業の収益最大化」「オムニチャネルリテイリング実現」「事業多角化による成長機会の創出」「投資効率性を重視した主要戦略間の施策選択」というものだ。
そして、これらの基本戦略すべてにITが深く関わることから「ITの変革も迫られることになった」と、末延氏は説明する。具体的には「速度」「未来」「牽引」という3つのキーワードに沿って、システム部門、IT業務のあり方を根本的に変革していくことが目標となった。
このうち「速度」については、調達スピードと拡張性を高め、同時に保守運用の手間とコストを削減する狙いから、「AWSのクラウドサービスをフル活用する」という戦略を立てた。
特に大規模だったのが、基幹データベース(DB)のAWSへの移行だ。従来、基幹DBは「Oracle Exadata」上で稼働していたが、1年強の検討/検証期間を経て、これを「Amazon EC2」上のOracle環境に移行。さらに、基幹DBを参照するデータ分析基盤も「Amazon Redshift」を中心に構築し直している。その後、今年4月には会員DBもAWSに移行しており、9月には既存データセンターのサーバーがすべてAWSに移行完了する予定だという。
AWSに移行した結果、開発期間が短縮され、新サービス開発のチャレンジも容易になるなど、IT業務の「速度」が高まったと、末延氏は語る。「AWSのフル活用によって、システム部門が経営を加速させる存在になれるのではないかと思っている」(末延氏)。
さらに、2020年の「未来」を見据えて定めたIT中期計画を実現していくうえでも、AWSをフル活用したIT基盤が効果を発揮するのではないかと、末延氏は期待を語る。その一例として、レンタル履歴のビッグデータ分析に基づき、顧客に「次に観るべき作品」を勧めるレコメンドシステムの試みが紹介された。
そのほか、最近では映像配信サービスや独自プリペイドカード発行、セルフレジ、Web買取など新たな顧客サービス展開も加速させている。末延氏は、「これらのサービスが短期間で導入、拡大できたのは、基幹システムを支えるAWSクラウドの拡張性が高く、迅速で安く利用できるからにほかならない」と、AWSクラウドが同社のIT変革を大きく支えていることを証言した。
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