“Watsonはすでに実用段階”とアピール、「IBM Watson Summit 2016」基調講演(前編)
「IBM Watson」国内最大ユーザーのソフトバンクがビジネス活用を語る
2016年06月02日 07時00分更新
「ようこそ、コグニティブの時代へ」。5月25日、26日に開催された「IBM Watson Summit 2016」の1日目基調講演では、国内におけるWatsonのビジネス活用事例が多数紹介され、IBMのコグニティブソリューションがすでに実用段階にあることを強くアピールした。
本稿前編ではソフトバンクCEOの宮内謙氏が語った同社業務システムにおけるWatson活用の狙いについて、またIBMが紹介したそのほかのビジネス活用事例について紹介する。なお後編では、富士重工業(スバル)やかんぽ生命、東京大学医科学研究所などが登壇したパネルディスカッションの模様をお伝えする予定だ。
Watsonの強みは「業種ごとの実績とベストプラクティス」にある
基調講演冒頭、日本IBM社長のポール与那嶺氏は、企業ビジネスを変革し、新たな価値を創出する「デジタル化(Digitalization)」を推進するためには、従来型のビジネスITを拡張/強化する取り組み(Digitization)だけでなく、そこにデータに基づく「インテリジェンス/知性」を投入しなければならないと語る。顧客のその進化をサポートするのがコグニティブ、というわけだ。
そして、IBMのコグニティブソリューションで中核をなす技術がWatsonである。Watsonは現在19種類のサービス、28のAPIを公開しており、年内にはAPIを50まで増やす予定だ。「Watsonは、構造化/非構造化データを理解/推論/学習する力を使って、顧客企業のデジタル化を支援していく」(与那嶺氏)。
他社のAI技術と比較した場合のWatsonの優位点を、与那嶺氏は「日本語化」「業種ごとの実績」「プラットフォーム(Bluemixクラウド)」の3つだと述べる。
中でも特に、業種ごとの豊富な実績がすでにあり、業種ごとのベストプラクティスも提供できる点を、与那嶺氏は強調した。コグニティブテクノロジーを活用したビジネスの成功には、「早期に立ち上げ、早期に動かしていくこと」が必要だと考えているからだ。
「AIでは、その技術だけでなく(学習のための)データ、データを学習する時間も大切な要素。したがって、ビジネス活用においてはいち早く取り組むことが重要だ」「Watsonは、単なるデベロッパー向けのツールとして提供するものではない。ビジネスですぐに活用し、付加価値を生み出せるような、そういうものとして提供させていただく」(与那嶺氏)