8インチFDDのトラブルが頻発
販売店の反発にあい売上が激減
そのIMSAI Manufacturing Corporationであるが、1979年にあっさり倒産する。倒産当時、同社の負債が190万ドルにも上った。実はこれにはからくりがある。
Miller氏はIMSAI Manufacturing Corporationとは別に、ComputerLandと呼ばれるチェーン店を1976年に立ち上げる。こちらは全米に瞬く間に広がり、1982年には売り上げが4億ドルに達する巨大チェーンになった。もちろんこのComputerLand、当初はIMSAIを販売していた。
ところが1979年になるとIMASIの比率は落ち、代わりにApple ComputerのApple IIやChromemco/North Starなどのマシンの売り上げが増えていった。
こうした動向を受けて、IMSAIはIMSAI 8080やIMSAI 8085に代えてPCSシリーズやVDPシリーズを投入したのであるが、問題はこれらの機種に搭載されたPersci製の8インチFDDの素性が悪く、猛烈にトラブルを起こした。
IMSAIはあわてて別のメーカーのFDDに切り替えたものの、Persci製ドライブで痛い目にあった販売店がこれ以上IMSAIの製品を販売するのを拒否し、売り上げが急速に悪化したのが主要因である。
結局Miller氏は、IMSAIの主要なリソースをComputerLandに移した上で、IMSAI Manufacturing Corporation自身は倒産させることで幕引きを図った。
IMSAI Manufacturing Corporationに残っていた資産は競売にかけられることになったのだが、その"IMSAI"という名前を購入したのが、元々はIMS Associates時代の社員であったThomas Fischer氏とNancy Freitas氏である。
2人はFischer-Freitas Companyと呼ばれる会社を作り、ここがIMSAIの名前のみならずサポートやパーツの販売などを現在も行なっており、補修部品を買える。
さらにIMSAI Series Twoと呼ばれるプロジェクトも開始している。見かけはオリジナルのIMSAIと変わらないながら、内部はAT互換機をベースとした構成になっている。とはいえ、プロジェクトはこの数年、あまり進展がないようである。
画像の出典は、“IMSAI公式サイト”
一方ComputerLandの方は、その後IBM-PCの販売代理店として急速に成長するが、これにともないMillard氏は税制上のトラブルに巻き込まれることになる。最終的に氏は1987年にComputerLandの株を2億ドルでファンドに売却し、その後はコンピュータービジネスに姿を現すことはなかった。
この連載の記事
-
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第792回
PC
大型言語モデルに全振りしたSambaNovaのAIプロセッサーSC40L Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ