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デジタル時代のアナログオーディオ入門 第2回

1万円台から10万円超まで、レコードプレーヤーはコレが買い!

2016年04月19日 10時00分更新

文● 鳥居一豊

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ハイレゾ録音やDSD録音もできる入手困難な人気モデル
USB出力内蔵のソニー「PS-HX500」

PS-HX500の外観。ハイレゾ対応のUSBオーディオ出力を備えるため、「Hi Res Audio」のロゴマークが貼ってある

PS-HX500の外観。ハイレゾ対応のUSBオーディオ出力を備えるため、「Hi Res Audio」のロゴマークが貼ってある

 まずは、前回の主役として登場したソニーの「PS-HX500」(実売価格 6万円前後)。実はこのモデル。4月発売予定なのだが、すでに予約注文などが殺到して供給不足となっており、現時点では5月中旬以降の出荷予定となっている。

 その理由は、入門ユーザーにも手の届く価格に加えて、フォノイコライザーアンプ内蔵、さらにUSBオーディオ出力も備えており、なんとリニアPCM最大192kHz/24bit、DSD2.8/5.6MHzでのハイレゾでのデジタル化が可能なのだ。

PS-HX500の背面の端子部。アナログ音声出力とUSBオーディオ出力を備える。オーディオ回路はアナログ部とデジタル部を分離した設計とすることにより、相互の干渉を抑えている

PS-HX500の背面の端子部。アナログ音声出力とUSBオーディオ出力を備える。オーディオ回路はアナログ部とデジタル部を分離した設計とすることにより、相互の干渉を抑えている

 PCなどを使ったデジタル化は次回で紹介するが、ハイレゾでのデジタル化はUSBインターフェースなどを使うので多少割高になる。PCMレコーダーもハイレゾ対応だと数万円になるし、DSD録音まで考えると10万円ほどの価格になる。それを考えると、PS-HX500でDSD録音ができるというのはかなりお得に感じるだろう。

 それだけではなく、レコードプレーヤーとしての作りもなかなか充実したものとなっている。ターンテーブルに重ねるゴムシートは、一般的なモデルだとペラペラの薄いものが付属するのが普通だが、PS-HX500は5mm厚のしっかりとしたラバーマットが付属。レコードとの密着性を高め、不要な共振が発生しにくくなっているのだ。

 ボディーの作りはオーディオ用の高密度MDFを使った丈夫な作りだし、ストレート型のトーンアームも専用設計だ。

 カートリッジを固定する丸形のシェルは一体型で、シェル交換には対応していないが、専用設計とすることでコストを抑えつつ音質を追求したという。

 円筒形状の軸受け部の作りも剛性の高さを追求した設計で、比較的安価な製品としてはなかなか力が入ったモデルなのだ。

 付属するカートリッジはMM型。針圧調整機構やアンチスケーティング調整も備わっているので、自力でカートリッジを交換することは可能だが、配線がかなり小さいため慣れている人にしかおすすめしない。ソニー的にも音質を含めて専用設計でチューニングしていることもあり、カートリッジ交換は非推奨とのこと。

さまざまなジャンルに合うストレートな音
粒立ちの良い鳴り方も好印象

 まずは、アニメ好きには懐かしい「幻魔大戦オリジナル・サウンド・トラック」から、キース・エマーソン作曲の主題歌「光の天使」などを聴いた。

 実はこの曲は筆者が生まれて初めて自分のお金で買ったレコードだったりする。たまたま中古レコードを物色していたら発見したのですぐに購入した。筆者のサントラ好きとプログレ好きはこれが原因となっている一枚だ。

 さっそく聴いてみよう。ローズマリー・バトラーの朗々とした歌声を聴くと、中学生だった当時の思い出が蘇るようだ。キース・エマーソンの特徴的なキーボードの音色も鮮明だ。音の粒立ちのよいクリアーな再現で、古臭い印象はほとんど感じない。ドラムはパワー感もしっかりしているし、叩いた瞬間の音の勢いなどはなかなかに鮮烈だ。

 また、最近の録音である「平井堅/ミラクルズ」のアナログ盤を聴くと、独特の色っぽい歌声が生々しく再現される。デジタル再生とはひと味違うダイレクトな感触があり、力強さと反応の良さが特徴的。熱気の伝わるようなグルーブ感のある音になる。

 クラシックなども含めて、いろいろと聴いたところ、トータルの印象としては周波数特性としてはクセのないニュートラルな再現で、レコードの音をストレートに出す素直なサウンドだ。ジャンルによる相性の善し悪しもないので、ジャズやクラシック、ロック/ポップスやアニソンまで幅広く聴く人には使いやすいだろう。

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