先ごろ、テックウインドから昔懐かしいキーボードとパソコン本体が一体となった「キーボードPC」が発売になった。
日本のパソコン創世記にキーボード一体型パソコンである富士通「FM-7」などで遊んだ筆者は、使い道など後回しにして、脊髄反射型の衝動買いをしてしまった。
海外市場のパソコン創世記にはごく一部の例外はあったものの、世の多くのパソコンの外観は、1981年に発売開始されたIBM PCとその互換機のそっくりさんだった。
基本的には、パソコン本体とディスプレー、キーボードの3つが別々になったセパレートスタイルだ。セパレート型PCは、拡張性や保守性、使い易さなどを前提とすれば、確かにもっとも常識的なスタイルであることは誰の目にも明らかだった。
3点セパレート型PCが主流になった後も、国内外でキーボード一体型のパソコンの登場はあったが、結局のところ、重くて大きなブラウン管を採用したディスプレーを組み合わせたり、多少薄く軽くなったとは言え液晶ディスプレーを同時に設置しないと使えないものだった。基本的に単体では使うことのできないキーボード一体型パソコンは普及する背景がそれほどなかったと言える。
そんな状況を一変させるインフラとなり得るのは、企業や一般家庭へのHDMI端子付きのHDTV(高精細度テレビジョン)の急激な普及だろう。もはや極めて低価格になったHDTVは省エネブームも後押しして、家庭でも企業でも、出張先のホテルの客室でもごく当たり前の映像設備となった。
広く世界に普及したHDTVインフラを最初に利用したのは、今もICT各社が揃ったように発売競争をしている「Apple TV」や「ChromeCast」などの映像系コンテンツの配信に特化した“ドングル・デバイス”だ。
その後、スティック型PCもいくつか登場し、ついには歴史あるキーボード一体型PCが何度目かの再登場をすることとなった。
一見普通のキーボード、でもれっきとした「キーボードPC」
パッケージだけを見ると、単にキーボードがデリバリーされてきたような錯覚に陥るほど、キーボードPCはコンパクトで軽量だ。
スペックの概要はパッケージ裏面に記述されているが、2GB メモリーと32GBのeMMCストレージ、Wi-FiはIEEE 802.11b/g/nをサポートし、Bluetooth 4.0、76キーの独自の日本語キーボードを搭載。Windows 10 Home 32bitがプリロードされている。
ちなみに、CPUはタブレットなどにもよく採用されている「Atom Z3735F」だ。これ一台をメインのパソコンとして使うならフラストレーションを感じる人もいそうだが、ベンチマークがお仕事ではない筆者のような人間が、超軽量のサブ機や一泊出張パソコンに使うならパフォーマンスは十分だろう。
入出力ポートとしては、microSDカードスロット(最大128GB)、USB 2.0(Type A)×2、ヘッドフォン用3.5mmジャック、内蔵マイク、HDMI出力(最大解像度 1920×1080) 、VGA出力(最大解像度 1366×768) 、有線LANポート、電源ポートと、ほぼ標準サイズのモバイルPCに匹敵する拡張性を実現している。
パッケージ本体の同梱物はキーボードPC本体と、専用ACアダプター、取説の3点となる。付属の電源アダプターは100~240V、50/60Hz、0.5Aに対応しており、国内外の旅行や出張に持って行くこともできそうだ。
スペック上の外形サイズは幅287×奥行き125×高さ26.5mmで、本体重量は約288gとあるが、筆者の実測では8gほど重い306gであった。
外観カラーに関しては、ホワイトとブラックの2種類があるようだが、コンシューマー向けは筆者の購入したのと同じブラックカラーのようで、ホワイトモデルは企業向けの限定販社用であるらしい。
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