BGAチップ型のNVMe SSD
もうひとつ、非常に興味深いSSDが展示されていた。それは「PM971」というもの。このSSDの最大の特徴は、コントローラー、NANDフラッシュメモリー、キャッシュ用DRAMをBGAタイプの1パッケージに組み込んだ、チップ型SSDだ。今回のセミナーで初めて展示したという。
接続インターフェースはPCI Express Gen3 x2対応で、プロトコルはNVMeをサポート。これにより、アクセス速度はシーケンシャルリード最大1500MB/Sec、シーケンシャルライト最大600MB/Sec、4Kランダムリード最大19万IOPS、4Kランダムライト最大15万IOPSと、1チップタイプのSSDながら非常に高速な速度を実現している。
採用されるNANDフラッシュメモリーは、MLCタイプの第3世代V-NANDで、容量は128GB/256GB/512GBを用意。キャッシュ用DRAMの容量は容量4Gbit(512MB)。コントローラーは「Photon Controller」というコントローラーを採用している。
PM961は、BGAチップ型のため、とにかく実装面積を最小限にできるという点が大きなメリットとなる。M.2 SSDよりも実装面積が少なくすむのはもちろん、コネクター類も不要となるため、薄型化にも貢献。また、省電力性も高められ、消費電力は4W以下に抑えられているという。そのため、小型のPCやタブレットにも広く利用できる可能性が高い。
なお、見た目は1チップではあるが、現時点では熱対策などを考慮し、コントローラーとDRAMを内蔵するパッケージと、NANDフラッシュメモリーを内蔵するパッケージ重ねて1パッケージにする”パッケージオンパッケージ”という技術を用いて実現されることになりそうだという。
説明員の話では、サンプル出荷の時期も含め、製品化のスケジュールは現時点では未定とのことで、OEM先と製品化に向けた協議を行なっている段階という。
例えば、M.2 SSDやSATA SSDなどは、簡単に取り外せるため廃棄なども容易となるが、チップ型ではそれが難しくなる。また、SSD自体が故障した場合には、マザーボードごと交換が必要となってしまう。そのため、用途によっては採用が難しい場面も増えるだろうとのこと。
とはいえ、小型のタブレットやPCの性能を大きく引きあげる可能性を秘めており、非常に興味深い製品と言える。
SATA SSDにも新モデルが!
ここまでは、NVMe SSDの新製品を紹介してきたが、SATA SSDの新製品もいくつか展示されていた。
まず、MLCタイプの第3世代V-NANDを採用する「PM871a」。新世代の「MAIA Controller」を採用し、シーケンシャル速度はリード最大530MB/Sec、ライト最大515MB/Sec、4Kランダム速度はリード最大9万7000IOPS、ライト最大8万8000IOPSとなる。容量は128GB/256GB/512GB/1TBを用意。メインストリーム以上のPCへの搭載をターゲットとする。
「CM871a」は、エントリーPC向けのSATA SSD。1y nm世代のTLC NANDフラッシュメモリーと、PM871aと同じMAIA Controllerを採用。
シーケンシャル速度はリード最大535MB/Sec、ライト最大215MB/Sec、4Kランダム速度はリード最大9万7000IOPS、ライト最大5万9000IOPSと、PM871aよりも低速ながら、非常に安価に出荷されるとのことで、低価格なエントリーPCでもSSD搭載を後押しする存在になりそう。容量は128GB/256GBを用意。
一般ユーザー向けのSSDとしては、すでに発売済みの「850 EVO」に容量4TBモデルのラインアップを追加するという。
4TBともなると、価格はさすがにかなり高価となりそうだが、容量的にHDDとなんら遜色のない使い方が可能となるだろう。SSDの容量アップと価格下落は今後も急速に進んでいくと思われ、特にコンシューマー向けPCからは徐々にHDDが駆逐されていきそうだ。