新たな市場開拓でプリンターにも伸びしろがある
一方、インクジェットプリンターでも、事業拡大に意欲をみせる。
中期経営計画では、「インクジェットプリンターのホーム市場における収益維持」を掲げながら、「インクジェットプリンターは、ホーム市場という言い方をすれば停滞感があるが、SOHO市場までを含めて考えれば、市場が縮小するとは考えていない。ここにも力を注いでいく」(坂田社長)とした。
これを補足するように、八木耕一常務執行役員は、「年賀状を送る人が若い人たちを中心に減少し、家庭におけるプリントボリュームは、年間を通じても伸びないという状況にあるのは事実。だが、SOHOという市場に目を転じれば、まだ成長の余地はある。SOHO向け製品の強化やソリューションの提案、さらには販売チャネルの開拓により、SOHO市場向けに積極的に仕掛けていきたい」と語る。
SOHO市場向けには、レーザービームプリンター「Satera」、ビジネスインクジェットプリンター「MAXIFY」、そして、コンシューマ向けインクジェットプリンターである「PIXUS」の3つの製品ラインで提案を進める。
同社の2016年度業績見通しは、売上高が前年比2%増の6600億円、営業利益は1%増の270億円、経常利益は1%増の282億円、当期純利益は13%増の177億円。そのうち、イメージングシステムの売上高が1%増の1803億円、営業利益が5億円減の133億円を見込む。
イメージングシステムでは、インクカートリッジが減少すると見込まれるものの、レンズ交換式デジタルカメラの回復を織り込んでいる。
キヤノンマーケティングジャパン・柴崎洋取締役専務執行役員は、「ミラーレスカメラを中心としたカメラ市場を牽引するための積極的な販促施策を実施する」とも語る。
長期経営構想および中期経営計画の初年度となる2016年度の成果は、ITソリューション事業の拡大と、イメージング事業における主力製品の成長によって、推し量ることになりそうだ。
訂正とお詫び:初出時、一部表記に誤りがございましたので、訂正いたしました。(2016年02月03日)
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