「売上を1.6倍にした人工知能」リアル店舗をウェブ化するABEJA
Google・Facebookの“お買い上げ”で残っていたものとは?
2~3%の購買率上昇は革命的で、
ほぼ1.6倍の売り上げに
インストアの分析ではすでに1年以上の導入実績があり、知見も培われている。たとえばアパレルでは、入店から購買まで至る到達率が数%とかなり低いと言われていたが、それが改めてABEJAのシステムで実証されたという。「どうやって来店して、どのような接客の結果で購買につながったかが、それまでまったくのブラックボックスだった。KPI(事業上の目標値)として見ることもできなかった、店員の感覚に頼った“なんとなく”だったものを、明確に定量評価できるようになるのがポイント」
データが見えることで、時間帯ごとの総来店人数から実際の接客人数での接客効率など、数字でリアル店舗の姿がわかるようになる。対応不十分な時間帯があれば店員を増やすなど、店舗だけでなくオペレーションでの改善にもつながるという。
もともとの購買率が5%だった店舗の場合、「2~3%の上昇は革命的で、ほぼ1.6倍の売り上げになる」(岡田代表)。リアルな店舗グロースハックの効果を体感してしまった事業者の継続率はかなり高い。
「最初のところだけ使い方を我々がご説明し、後はお客様に引き継いでもらう。入店数がわかってPOSと紐づけば、店舗でウェブのようなコンバージョン率もわかる。一度スマホで数字を見られるようになってしまうと、現場としては『ほしいよね』となってくれる」
ABEJA Platformが実現するのは、リアル世界のデータマネージメントプラットホームのようなものだ。店舗内の分析ツールのプラットホームとして、カメラ、POS、CRM、さらには従業員管理までつながってくる。
従業員の管理にはビーコンやRFID(Radio Frequency Identification:無線自動識別)が役立っている。コンシューマーの視点からみると普及に課題のあるビーコンなども、店員側が能動的に持つ場合で意味が変わってくる。「店員さんにもってもらうことが多い。画像解析は総数が取得できるものなので、引き算となるデータ(店員側の動き)があるとわかりやすい」