富士通は11月12日、1本の光ファイバーで1万ヵ所以上もの温度を測定できる「光ファイバー超多点温度センシング技術」を東北電力の火力発電所で実証実験を行なったと発表した。
これは富士通が2008年に発表した技術で、光ファイバーを通る光がラマン散乱と呼ばれる光散乱現象が起きるのを利用したもの。入射するパルス幅や、散乱したパルスの拡がりから位置を補正、さらに光ファイバーの敷設を熱流体シミュレーションに基づき最適化。数kmの長さの光ファイバー自体の温度を10cm間隔で連続的に測定できるという。
当初、富士通ではデータセンターの温度を測定するといった用途を想定していたようだが、火力発電所の安定稼働の維持に役立つとして東北電力と共同研究を行ない、秋田発電所での実証実験を実施した。発電所内部の長い配管や要監視箇所に対して多数の温度センサーとそれに繋がるケーブル配線なしに利用でき、なおかつ可燃性ガスのある場所でも防爆仕様(ショートなどによる引火)にかかわらず敷設できるという利点をがある。
実証実験では、燃料配管と蒸気配管、ボイラー煙道の温度を継続的に測定し、蒸気の異常な液化や滞留の発生を検知、蒸気配管と燃料配管の温度上昇・低下タイミングの比較から、それぞれの配管の正常さを検知するなど有効性が確認されたという。富士通では、システムの有効性が確認されたことにより、火力発電所だけでなくさまざまなプラントなどへの応用を目指すという。