CRAY XMTとして発売されたMTA-3
計画のうちMTA-3はCray XMTとして実現する。Cray XMTとは、Cray XTのインフラの上にMTAのアーキテクチャーを搭載したモデルである。
要するにプロセッサーそのものはMTA-2の延長にあるもので、ただしインフラはCRAY XTのものを採用しており、既存のCRAY XTと互換性があるというものだった。
もう少し細かく説明したのが下の画像である。
Cray XTシリーズは連載292回で紹介した、Red Stormとその後継製品であるRed StormがXT3にあたり、ここからプロセッサーや構成、インターコネクトを少しづつ強化しながらXT6まで進化、その後プロセッサーをOpteronからXeonに切り替えたXCシリーズに置き換わっているわけだが、このボードは同じまま、プロセッサーのみMTAベースのもの(上の画像で出てくるThreadstorm)に置き換えたのがCray XMTだ。
下の画像を比較してもらうとこれはわかりやすい。ThreadstormプロセッサーはOpteronとピン互換で製造され、ブレードそのままにプロセッサーだけ置き換えて使えるものだった。
MTAのアーキテクチャーが多数のプロセッサーを接続するものだったため、XMTになってもこの点では問題がなかった。
実際1つのキャビネットに24枚のブレードを装着でき、ブレード1枚に4つのThreadstormプロセッサーが搭載されるので、キャビネットあたり96プロセッサー。RedStormと同じ構成なら最大140キャビネットが並んでいるから、1万プロセッサー以上の構築も現実問題として可能ということになる。
ちなみにCRAY Japanのウェブサイトには、2010年~2011年にかけての特別キャンペーンページが残されており、1キャビネット(64プロセッサー)あたり5千万円というお値段がついているが、果たしてこれが高いのか安いのか、にわかに判断はつきにくいところ。
ただ、いわゆるベクトル計算機に比べると並列化がやりやすいといった特徴もあり、またThreadstormプロセッサーは500MHzまで動作周波数を引き上げたこともあり、MTA-1/2に比べるとずっと実用的な性能と価格になったことは間違いない。
どのくらい売れたのか? という直接的な答えにはなっていないのだが、2011年頃に“CRAY XMTの次世代製品”に関するペーパー(関連リンク)が出ており、この際にはCRAY XT5のブレードに実装するという計画になっていたものの、結局これは実現しないまま消えたあたり、やはりそれほど大きな需要はなかったと思われる。
これが実現していればMTA-4相当になるはずだったわけだが、前回も書いた通りMTAを考案したBurton Smith氏は2005年にCray Inc.を退職しており、もう社内でもそこまでMTAにこだわりはなかったのかもしれない。
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