アメリカにないタイプの商売
──売れている商品にはどんなものがあります?
すごく高いものでいうと、3Gシールド。Arduinoにかぶせて3G電波を出せるものです。日本で使えるモジュールを使っていて、5万4000円とかするんですけど。
──ウッ、けっこう重い。
モジュールも高いので仕方ないんですけど、遊びじゃ買えない値段ですよね。これも10%+300円でやっているんですが、これがけっこう売れていて。先方はホクホクで、いつ会っても「ありがとうございます!」と。
──シールド、どんな人が買っていかれるんですか?
学校さんですね。植物の日照や水分量を計測するとき使いたいと。専用の機械はあるけど高いんですよ。植物系の先生でも、理系の方々は頭がいいので、短いプログラムを自分で書いて、つくっちゃうんです。
──カッコいい世界ですね。
とくに学校の場合は書類が必要だったりするので、うちを選んでいただけることもあります。学校さん向けに掛け売りもやってたりしてるんです。資金繰り的にはキツイけど、頑張ってますよ。
──スイッチさん以外で委託販売できるお店ってどこがありますか?
マルツ電波さんがあります。福井に本拠地があるお店です。マージンはうちより高いけど、全国12店舗に置けるのは素敵ですよね。積極的に宣伝もしてくれる。
──ちょっとスイッチさんとは毛色がちがいますね。
うちに預けてくださってる大多数の人々は、おこづかいを稼ぎたいわけじゃなくて、見せびらかしたい人たち。「いいね」と言ってもらいたい人たち。そういう方々向けのプラットホームとして用意してるんですね。
──競合さんと住み分けができていると。
まあ競合って言ってもお互いにモノの仕入れやってるようなところですからね。秋月電子さんなんかもMaker's Faire Tokyoで会ったり、一緒にごはんを食べに行ったりしてますし。
──MAKER先進国であるアメリカの場合はどうなんでしょう?
SparkFun Electronicsとか、Adafruit Industriesみたいな同業者があります。ただ、彼らはいわゆる委託販売はやってなくてビジネス上の取り引きだけ。仕切り価格で6掛けなんて言われてしまう。
──それだと10個、20個単位でモノを売るのはキツいですね。
その場合はeBayですね。キットがeBayに出ているのを見かけることはあります。
──スイッチサイエンスさんみたいなお店は世界的にも珍しいのかもしれない。
そうかもしれませんねえ。
──「etsy」のようなハンドメイド・クラフト系のマーケットサービスも増えてきましたが、電子工作はなかなか見かけません。
やっぱり数がちがいますよ。分母がちがう。そういうサイトに出ているiPhoneケースとArduino基板じゃ、数が比べものにならない。そもそも(Maker)人口が少ないというのもありますよね。ソフトの人たちがハードの方に流れてきて人口が増えているとは言うものの、まだまだ少ないです。