ネットの流儀が現実に逆流し、人やサービスに影響を与えている
ビジネスにもなってる再注目の「ポスト・インターネット」ってなに?
2015年08月11日 10時00分更新
ポスト・インターネット時代の思わぬ落とし穴
今後、こうしたポスト・インターネット的な状況は良くも悪くも進行していくだろう。
良くもはともかく「悪くも」というのは、ネットとリアルの区別がつかない結果としての大小さまざまな事件をわれわれはすでにいくつも目撃しているし、デジタルデバイスから知らず知らずのうちに膨大なデータを企業に吸い上げられるという機会も急激に増加していくはずだ。
いずれ本稿でも触れることになりそうだが、ウェアラブルデバイス、さらにはIoT(Internet of Things)の潮流におけるIT家電の普及など、ポスト・インターネット時代の罠は思わぬところに潜伏している。
本来「個人の感性の増幅装置」であったはずのパーソナルコンピューターが発達/進化した結果、ユーザーたちが企業にとっての格好のマーケティング対象になっていた……などという話は、あまりにも皮肉すぎて笑うに笑えない。
次回はその個人の感性の増幅装置であったパーソナルコンピューターがいよいよ売れなくなっているという事実から、今後われわれの周囲に生起するであろう情報環境の変化、人間と情報との関係の変容について考察をめぐらせてみたい。
そこには「いや、だって今はスマホの時代だからさ」では済まされない、とてつもなく重要なコンピューティングの地殻変動があるはずである。
著者紹介――高橋 幸治(たかはし こうじ)
編集者。日本大学芸術学部文芸学科卒業後、1992年、電通入社。CMプランナー/コピーライターとして活動したのち、1995年、アスキー入社。2001年から2007年まで「MacPower」編集長。2008年、独立。以降、「編集=情報デザイン」をコンセプトに編集長/クリエイティブディレクター/メディアプロデューサーとして企業のメディア戦略などを数多く手がける。現在、「エディターシップの可能性」をテーマにしたリアルメディアの立ち上げを画策中。本業のかたわら日本大学芸術学部文芸学科、横浜美術大学美術学部にて非常勤講師もつとめる。
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